楽しかった東京の夜は忘れられない思い出に

[写真]コント・パロディフライ時代の妹尾和夫（中央）。左はメガネこと神谷光明、右はペコ（劇団パロディフライ、コペルニクスさん家はおとなりです。パンフレットより）

　約3年ぶりの再会に古尾谷と妹尾は大興奮。楽屋には同窓会のような雰囲気が漂っていた。話は弾み、あっという間に時間がすぎた。ドラマのスタッフが「古尾谷さん、よろしいでしょうか」と声をかけてくると、古尾谷は「いま、俺、本当に久々にあった友達と話してるから待って」とスタッフを追い返した。 　しかし、撮影があるからスタッフも何度も呼びに来る。妹尾もコントを覚えなければならない。すると古尾谷は「きょう時間ある？　飲みに行こうよ」と誘ってくれた。妹尾が古尾谷の楽屋から稽古場の廊下へ戻ってくると、「お笑いスター誕生!!」の出演者たちはみんな稽古をやめ、目を丸くして妹尾のところを見た。その瞬間、妹尾は現実に戻ったのを今でも覚えている。 　その晩、妹尾は神谷とペコと一緒に古尾谷と東京の夜の街へ繰り出した。東京・新宿へ電車で移動。車内は満員の状態で、周囲は大きな古尾谷をじっと見ていたという。古尾谷はドラマの主役を張る俳優、妹尾は視聴者参加番組の出演者。立場は違ったが、飲んでいるあいだは昔の仲間の時のままで本当に楽しかった。 　「古尾谷さんと飲んだ思い出が、こんなに忘れられないものになるとは、あの時は思っていませんでした。かけがえのない時間でした」。妹尾は少し寂しそうに当時の思い出を語っていた。 ■妹尾和夫（せのお・かずお）1951年11月17日大阪市大正区生まれ。20代半ばから大阪を拠点にドラマ「部長刑事」「必殺シリーズ」「暴れん坊将軍」に悪役で多数出演。現在、テレビ「せのぶら本舗」、ラジオ「とことん全力投球!!妹尾和夫です」（いずれもABC朝日放送）、「妹尾和夫のパラダイスKyoto」（KBS京都ラジオ）で活躍中。