最新の消防署は仮眠室が個室、防火衣専用の洗濯機も 元消防官が取材
大津市皇子が丘3丁目に移転・新築された大津市消防局の中消防署。元消防官の記者(41)は、最新の消防署を取材して、「住環境」などの変化に驚いた。 【写真】中消防署には防火衣専用の洗濯機も設けられている=2024年11月22日午後0時7分、大津市皇子が丘3丁目、仲程雄平撮影 記者は東京消防庁で2002年から8年間勤務した。昭和の時代に建てられた消防署や出張所で隊員として働いた。 大津市消防局の中消防署は12月1日から運用される。大規模災害への備えや市民が利用できる訓練設備などが特徴だ。11月22日に竣工(しゅんこう)式典と内覧会があった。 ■事務室の奥が寝食する空間に 災害対応する職員は24時間勤務。2階の事務室の奥が、寝食する空間になっていた。仮眠室は全て個室。2段ベッドが置かれているが、普段は1人で使用するという。 記者の時代は、ロッカーとベッドが並ぶ更衣室兼仮眠室の大部屋で、みんなでいっしょに寝ていた。大津市消防局もそうだったというが、「時代の流れ。プライバシーに配慮した」。担当した消防総務課危機管理室長の谷光芳さんは話す。 仮眠室が個室だと出動指令に気づかず、置いて行かれる危険もあると思ったが、スピーカーの音量は各個室で調節できるから心配ないという。風呂場も、大きな浴室が当たり前だと思っていたが、個室だった。 出動時は、その寝食する空間から、階段で車庫がある1階に下りられる構造になっていた。一般の来庁者とぶつからないようにするための工夫だ。出動シーンで有名な「すべり棒」は危ないため、設置していない。 車庫で防火衣を着装していた記者からすれば、「出動準備室」というかっこいい部屋があるのも新鮮だった。室内にあるモニターで出動先の確認もできるという。 防火衣専用の洗濯機があることにも驚いた。記者の時代はデッキブラシで磨いていたから、隔世の感があった。 ■事務室はフリーアドレスに 昔の消防署と比べると環境がよくなった、と感じた。事務室は自席がないフリーアドレスを採用。職員どうしの交流を促す狙いがあるという。 県外の新しい消防署を見て回り、設計の参考にしたという。山肌を再現した壁や屋上の広々とした訓練スペースなど、訓練施設が庁舎と一体となっているのも特徴だ。 「どこでも訓練できる消防署になった」と語る谷さんは、救助隊経験が豊富な職員だ。新たな中消防署は、快適になっただけではなさそうだ。(仲程雄平)
朝日新聞社