「どうしても『ゲゲゲの鬼太郎』が弾きたい」 楽器のマルチプレイヤー・TENDREが明かした意外な原点
依頼を受けて手がける楽曲制作の感覚とは?
自身はシンガーでもあり、プロデューサーとしての案件も多数手がけるTENDREは、他者から依頼を受けたときと、自身の楽曲を作るときとの制作の違いについて語った。 TENDRE:自分自身の曲を作るのとは違う脳みそを使うという感じなんですかね。たとえば自分だったらこういう言葉にするけど、誰かの曲を作るとしたら「こういった言葉を使いたくて」となったときに、それを自分の解釈で音像にしていく作業というのは、自分のなかにないアイデアが出てくるのですごく面白いし、好きだなとよく思います。 長井:面白いな。頼まれたいろいろな視点を「河原太朗視点」でもう一度再構成してこの音が生まれるという。 TENDRE:人によって「爽やか」というニュアンスは違うじゃないですか。 長井:違います。 TENDRE:この香りを爽やかという人もいるし、その香り自体を別の人は違う言葉で表現することもあるかもしれない。そういったいろいろなイメージを自分のなかでも拡張できる感じが楽曲制作にはあるのではないかな、とはよく思います。 長井:確かに面白いですね。一言だけをとっても、全然違う解釈もできるから。 TENDRE:「あ、そういう考え方あるんだ」みたいな感じなので。今回も制作させていただくにあたってそのへんのディスカッションをさせてもらい、自分なりに体現できたものができたかなという感じです。
意外な原点『ゲゲゲの鬼太郎』
TENDREは楽器のマルチプレイヤーでもある。「楽器自体が好き」という部分もあるのだとか。 長井:ベースもギターも鍵盤もサックスもなんでもできるんですよね。 TENDRE:楽器を演奏することが好きなんです。ドラムはあまりできないですけど、もともとベーシストで仕事をしていたりとかもありますし、楽器を触ることがとにかく好きなので。そういったなかで音楽を作るんだったら、どんどん詳しいことを知っていきたい。たとえばいろいろな国に遊びに行ったらその国の言葉を知りたいとか、文化を知っていくというのとある種感覚が近いかもしれないです。そういった意味で楽器自体が好きなところがあります。 長井:最初に触った楽器はなんでしたか? TENDRE:ピアノです。両親ともジャズミュージシャンなのですが、僕が5歳のときに母親が知り合いのピアニストを呼んできて。僕がそのときにどうしても『ゲゲゲの鬼太郎』を弾きたいと。 長井:えー! TENDRE:そのとき確かアニメでやっていて、それをピアノの先生が譜面に起こしてくれたんです。好きな曲を自由に弾かせてもらう練習をずっとやっていました。 長井:じゃあ原点が『ゲゲゲの鬼太郎』にあると。 TENDRE:意外とあるんです(笑)。「たろう」つながりで、なにかあるのかもしれないです。