〈新NISAの落とし穴〉50代・60代になってから大後悔!?「買ってはいけない投資信託」の真実【公認会計士が解説】
新しいNISA制度がスタートし「早く資産運用を始めなければ…」と気持ちは焦るものの、どんな投資信託を買えばいいのか悩んでいる方も多いでしょう。ここでは、投資信託選びの注意点について、FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏がわかりやすく解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
「微々たる違いなのに!?」運用コストは絶対無視できないワケ
生徒:新しいNISAでは、運用コストの安い商品を選ぶべきだといわれています。ですが、年に数%の小さな手数料を、そこまで気にするでしょうか? 先生:NISAのように老後資金の準備が目的なら、10年、20年の長期の運用です。すると、1%の信託報酬の違いが、複利の効果が効くことにより、数百万円、数千万円の違いになるのです。 生徒:「信託報酬」とは、具体的にどのようなものですか? 先生:信託報酬とは、投資信託を管理・運用してもらうために、投資信託を保有している間、投資家が支払い続ける費用のことです。 生徒:なるほど…。 先生:では、簡単な計算例を見てみましょう。年率4%の利回りで増えていく投資信託を1,000万円購入する場合を例に、費用の支払いが、資産の増加にどれだけ影響するのかグラフにしましょう。 生徒:そういえば、ファンドラップは年率3%くらいだと聞いたことがあります。 先生:そうですね。資産残高に対する費用として、毎年0%、1%、2%、3%の4パターンで比較してみます。20年後の資産は、それぞれ2,190万円、1,800万円、1,480万円、1,220万円となります。 生徒:こんなに大きな差が! 先生:そうです。つまり、3%の費用を支払い続けると20年間で1,000万円近いマイナスとなるのです。これが複利の効果であり、十分な注意が必要です。
アクティブ型、個人向けの手数料率は「ものすごく高い」
生徒:新しいNISAの投資信託には、「アクティブ・ファンド」と「インデックス・ファンド」がありますが…? 先生:インデックス・ファンドとは、日経平均株価やTOPIX、S&P500のような株価指数に連動するように設計された投資信託です。一方、アクティブ・ファンドは、経済を分析したり、企業を調査したりして、優良な投資先を探し出すことで、株価指数を上回ることを目指す投資信託です。 生徒:信託報酬はどれくらい違いますか? 先生:アクティブ・ファンドの信託報酬は1.5%から2%くらい、インデックス・ファンドの信託報酬は0.1%から0.5%くらいです。ちなみに、アクティブ・ファンドであっても、機関投資家を相手とする年金運用などの場合では、せいぜい0.3%くらいです。個人向けの手数料率が、ものすごく高く設定されているのです。