和歌山南陵3年生だけの部員10人で夏に臨む 渡辺蓮「同じ高校生に負けていられない」/和歌山
和歌山南陵が3年生だけの部員10人で夏に臨む。 高校野球和歌山大会の抽選会が21日、和歌山市内で行われ、同校が選手宣誓のくじを引き当てた。全校生徒はわずか18人。経営難などが理由で新規生徒の募集は停止中で、1、2年生はいない。現在の部活動は野球部10人のほか、6人でインターハイ出場を決めたバスケットボール部、吹奏楽部の2人。宣誓が決まった主将の渡辺蓮内野手(3年)は「めちゃくちゃうれしい」と笑顔を見せ、宣誓文に盛り込みたい言葉に「一番熱い夏」を挙げた。 【一覧】和歌山大会の組み合わせ 昨夏は18人で県4強入りしたが、10人になった昨秋は準々決勝、春は3回戦で敗れた。今年は耐久と21世紀枠の田辺がセンバツに出場し、春の近畿大会は智弁和歌山が準優勝。今夏は1つの出場枠を巡って戦国和歌山の様相を呈す。「同じ高校生に負けていられない。練習すれば負けないことを信じています」と最後の夏にかける思いは熱い。 このほど中国地方に遠征し、甲子園常連校など強豪相手に練習試合4試合を実施。サヨナラ勝ちや投手も務める渡辺主将が完投勝利を飾るなど自信を深めた。「気持ちでは絶対負けないんで。10人と少ない中でも全員で本気で戦えば勝てると思う。全員で楽しみます」。7月15日の紀北農芸との初戦に勝てば、2回戦で智弁和歌山と当たるブロックに入ったが、負けるつもりはない。「一番熱い夏」のハッピーエンドははもちろん、初の甲子園切符。20の瞳で、和歌山南陵の名前を全国にとどろかせる意気込みだ。【中島麗】 ◆和歌山南陵(わかやまなんりょう)1990年(平2)創立の私立校。生徒は3年生のみで18人。野球部創部は2016(平28)年で、初代監督は大洋や日本ハムなどで活躍した岡本哲司氏(63=現四国IL徳島監督)。最高成績は昨夏などの県4強。現監督は岡田浩輝(こうき)氏(27)。和歌山県日高郡日高川町和2223の5。甲斐三樹彦理事長。 ○…和歌山南陵関係者は同校は「廃校の危機ではない」と強調した。運営する静岡県の学校法人が22年に経営改善の措置命令を受け、現在は新規生徒の募集を停止している。現3年生18人が卒業すると生徒が0人になりかねないが「閉校にならないために、理事長を替えて、生徒募集できるように動いている」と説明。学校側は経営体制を替え、校歌も替え、措置命令の解除を見据えて動いているという。