心配された『ドラゴンボール』完結後の躍進

画像は『ドラゴンボール超 TVシリーズ コンプリートBlu-ray BOX 下巻』（Happinet）

　2024年の「週刊少年ジャンプ」では、『僕のヒーローアカデミア』（作：堀越耕平）や『呪術廻戦』（作：芥見下々）が完結を迎えました。次々と人気タイトルの連載終了が決まり、今後のジャンプを憂う読者も少なくありません。確かに、昨今のジャンプを支えてきた二大作品が抜けてしまうのは痛手かもしれません。 【画像】逃した魚は大きい…　こちらは「ジャンプ」が取り逃がした大ヒット漫画家です（4枚） 　とはいえ、今回のような大人気タイトルの連載が終わる状況は過去に何度もありました。特に、鳥山明先生の代表作『ドラゴンボール』が1995年25号で完結したときです。人気作が抜けたことで、その後の「ジャンプ」が心配されましたが、結果的に人気作として定着した作品に支えられています。 　具体的には、1994年から1999年まで連載された『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』（作：和月伸宏）が、それに当てはまるでしょう。 『るろうに剣心』は、逆刃刀を腰に下げて不殺を誓う流浪人「緋村剣心」が、維新志士の中で最強無比の伝説をもつ「人斬り抜刀斎」という過去を背負い、数々の宿敵と対峙する物語です。『ドラゴンボール』が最終話を迎えた25号までの掲載順位は、3号分を振り返ると、21・22号合併号は7位、23号は11位、そして、24号は8位でした。 　25号では17位になったものの、26号で3位に順位を上げました。『ドラゴンボール』が抜けるまでや、その後の順位は、しばらく安定しなかったものの、46号で巻頭カラーを飾ってからは上位に入るようになり、「ジャンプ」の看板作品になったのです。コミックシリーズは累計発行部数7200万部で、1996年にアニメ化され、時を経て2023年には再アニメもされています。 　ほかには、競馬マンガの金字塔である『みどりのマキバオー』（作：つの丸）も、『ドラゴンボール』が抜けた時期に連載していました。1994年から1997年まで連載された同作は、小さい体なのに速く、犬のような白毛馬の「ミドリマキバオー」が競走馬として成長していく様子を描きます。 　21・22号合併号から25号までの掲載順位を見ていくと、12位、7位、15位、15位という推移で、決して良い成績ではないものの、28号では1位になって巻頭カラーを飾っています。以降は『るろうに剣心』のように安定した順位を維持できなかったようですが、1996年にはアニメ化されて、さらに人気を博しました。オープニングの「走れ 走れ マキバオー」という歌詞の曲「走れマキバオー」を、いまでも覚えている人も多いことでしょう。 　そして、2025年に再アニメ化されることで話題になった『地獄先生ぬ～べ～』も、1993年から1999年まで「ジャンプ」にて連載された作品です。同作は、小学校の教師である「ぬ～べ～」こと「鵺野鳴介」が「鬼の手」を駆使して、小学校を舞台に巻き起こる怪奇現象や凶悪な妖怪たちと戦う様子が描かれています。 　のちのシリーズ作品と合わせた累計発行部数は2800万部を超えており、さらに再アニメ化も決まったいまでも人気の高い作品ですが、『ドラゴンボール』が抜けた頃の掲載順位は決して良いものではありませんでした。 　21・22号合併号は16位、23号は14位、24号は12位、そして、25号は19位という順位で、2桁台に留まる状態が続いていました。しかし、1996年から同作のアニメ放送が始まったこともあり、巻頭カラーを何度も飾るなどして盛り返し、その後も「ジャンプ」の人気作品として定着したのです。 　そして、『ドラゴンボール』が終了してから約2年後、現在も連載が続いている大人気作『ONE PIECE』（作：尾田栄一郎）が始まり、結果的に、読者が感じた「ジャンプ」に対する不安は杞憂に終わったことになります。 　現在も連載中の作品でも、『逃げ上手の若君』（作：松井優征）が2024年7月にアニメ化されたほか、2025年1月に『SAKAMOTO DAYS』（作：鈴木祐斗）のアニメも放送予定です。『ヒロアカ』や『呪術廻戦』が抜けた後、どの作品がジャンプを長く支える大人気となるのか、ファンとして行く末を見続けたいものです。