煙のように軽い2200年前のシルクのガウン・中国
【東方新報】中国・湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)の湖南博物院(Hunan Museum)で、紀元前180年頃の前漢時代初期の墳墓「馬王堆(Mawangdui)」から出土した驚くほど薄い衣服が初めて展示された。 「馬王堆」で1972年に発見され大きな話題となった女性のミイラ「辛追夫人(Lady Xin Zhui)」の墓から、2着のシルクのガウンが出土していた。 そのうち大きい方の1着は重さわずか48グラム、カーブした裾を持つ裏地のない無地のガーゼのガウンは、「セミの羽のように薄く」「煙のように軽い」と形容されている。このガウンは、もう1着のストレート裾の裏地なしガーゼガウンよりも丈が長く幅も広いが、重さは1グラムほど軽い。 50歳前後で亡くなったと推定される「辛追夫人」は、当時の長沙地方の宰相・利蒼(Li Cang)の妻であったとされている。 中国は5000年以上前に世界で初めて蚕の繭からとった絹糸を利用した国だ。「馬王堆古墳」で発見された精巧な絹織物は、前漢時代の織物技術の粋を示すものである。 当時の衣服の裾は、一般的に直線か曲線のどちらかのデザインとなっていた。 裾がカーブしているものは一般的にフォーマルな場面で着用され、裾がストレートのものはカジュアルな場面で着用されたとされている。 生地は驚くほど軽量で、長さ900メートルの絹糸の重さは約1グラムしかなく、光の透過率は75パーセントほどだ。 専門家によると、動物の家畜化や繊維技術の進歩で、近代の蚕はサイズが大きくなり、シルクが太く重くなっている。もし当時と同じ軽さのシルクを得ようとすれば、研究者たちは蚕を痩せさせる必要があった。 湖南省博物館は19年、中国で最初の工芸武術研究所「南京雲錦研究所(Nanjing 'Yunjin' Brocade Research Institute)」と共同で約2年の努力を経て、重さ約49.5グラムの、ストレート裾で裏地のない絹のガーゼガウンのレプリカ作成の成功を発表した。 またその数年後に、カーブ裾のガーゼガウンのレプリカも発表した。 今年は「馬王堆」漢墓を考古学的に発掘してから50周年にあたる。新たに展示されることになった古代中国のガウンはついに、『彼女は美しく歩く:漢とローマの女性たち』というテーマの展示会にその姿を現した。 この展示会は、イタリアと中国の19か所の博物館から200個/セット以上の文物を集めて、10月7日まで開催されている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。