「人よりも儲けたい」がある村に悲劇をもたらした…森永卓郎が絵本で綴る「バブル経済」のほんとうの恐ろしさ
子どもたちが幸せな人生を歩むためには、「お金」についての知識がとても大切です。 見回せば、子ども向けの「投資」「経済」「お金」の本が日々、出版されています。働いたことがない子どもたちに対して、私たち大人は「お金について」、まず何を伝えればいいのでしょうか。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” ベストセラー『ザイム真理教』や『投資依存症』の著者、経済アナリストの森永卓郎さんは、まず「バブル」について知ってほしいと言います。 日本で「バブル崩壊」が起きたのは、1991年のことですから、すでに34年もの年月がたっています。大人でも実情をよく知らない人が増えてきているのです。 そんな現状を憂いた森永さんが、「儲けたい」という気持ちが引き起こす悲劇を動物寓話として描いたのが『絵本でわかる経済のおはなし バブルが村にやってきた!』です。 「いま、世界は過去最大の『バブル経済』」と指摘する森永さんに、「バブルに巻き込まれないために」必要なこと、絵本を通して学べるお金の大切さについてお聞きしました。
日本では1991年にバブルが崩壊
日本では、1980年代後半から1990年ごろにかけて「バブル経済」となりました。 ものの値段があがっていくことを期待して、銀行から融資を受け、なにかを買った人たちは、そのあと起きた「バブル崩壊」で多額の借金に苦しむことになったのです。 大きな悲劇であったバブル崩壊時に生まれた人は、すでに30代です。いまの小学生の親世代は、バブルを体感していません。今回、子どもたちに向けて絵本を書こうと思ったときに、テーマはバブルにしよう、バブルについて親子で知っておいてほしい、とすぐに決まりました。
いま、世界は過去最大の「バブル経済」である
「バブル」は「泡」のことですね。実際の物の価値以上に、値段がふくれあがっていくことを、中身がない泡にたとえてこう言います。そして、バブルは過去のお話ではありません。僕はいま、世界は過去最大のバブル経済になっていると考えています。 今回はじめて書いた絵『絵本でわかる経済のおはなし バブルが村にやってきた!』(作:森永卓郎 絵:林ユミ 2025年1月23日発売)の中では、子どもたちにもわかりやすいように、「お手伝いのクーポン券」がどんどん値上がりし、最後には1億円になってしまった現象を紹介しています。 動物たちは、値上がりを見込んで借金をし、クーポン券を買います。これが「投資」ですね。「儲けたい」というみんなの「投資」が「バブル」を引き起こすことが無理なく伝わると思いますし、「自分もやってしまいそうだ」と子どもが思ってくれたら、この絵本は成功です。