支援の輪広がる場に 氷見の川嶋さん、被災の土産物店再開へ
富山県氷見市のにぎわい創出に取り組み、地元で名物店主として知られる川嶋裕美子さん(64)が営む同市中央町の土産物店「勘右衛門母母座(かかざ)」が、能登半島地震の被災を経て、5月2日から営業を再開する。新たに支援物資コーナーを設けるほか、音楽や落語などのイベントも毎月行う。「訪れた人に元気になってもらい、その輪が広がっていけばうれしい」と話す。 川嶋さんが十数年前に始めた母母座は、オリジナル商品のブリ最中などを扱うほか、定期的にイベントを開き、観光客や市民から親しまれてきた。夫の介護のため2022年6月中旬から休業しており、今年5月からの再開を決めたが、その矢先に地震が発生。津波警報の発令で海に近い店は「駄目だろう」と諦めていた。地震から1週間後に様子を見に行くと入り口基礎の亀裂や瓦のずれ、壁のひびが見られたが、比較的軽度の損傷で済んだ。「再開を待ってくれている人がいる」。店の復旧を進めた。
2月には交流のある東京の在宅診療所院長から衣服や食料品など段ボール40箱以上の支援物資が届き、市内各地を配って歩いた。この活動を通じ、支援を必要としていても声を上げられず我慢している人が多いということに気付いた。 支援物資コーナーには現在、寄せられたハンドクリームや洗顔料を置き、無料で配る。被災地の復興への道のりは遠い。川嶋さんは「店には多くの人が来る。支援しようという思いが広がっていってほしい」と願っている。