安政大水害の石碑、地震で損壊 富山・立山町の常願寺右岸、修繕めど立たず
富山県立山町の常願寺川右岸堤防にある幕末の「安政の大水害」を伝える石碑が、元日の能登半島地震で損壊していたことが分かった。地元の利田自治振興会が6月に確認。修繕工事は、自治振興会が2016年度に掛けた保険から費用を捻出することを考えているが、建立から60年以上たち、技術面での難航も予想され、着工のめどが立っていない。 1858(安政5)年、越中や飛騨地方を襲った跡津川断層を震源とした大地震で、立山カルデラでは大鳶・小鳶崩れが発生。その後、大規模なせき止め湖が決壊し、常願寺川で大洪水が起き、下流に甚大な被害をもたらした。 利田地区では自治振興会が1957年、富山市と立山町を結ぶ大日橋の堤防に「安政大水害100年記念碑」を建立。当時の吉田実知事が治水精神の高揚と災害の絶無を願う碑文をしたため、住民が復興に努めた先人の苦労などをしのびながら管理してきた。 今年6月の清掃の際、積み上げられた石がずれていたり、土台のコンクリートに亀裂が入っていたりと、至るところで損壊しているのを見つけた。保険を掛けていたことが功を奏したものの、修繕のめどは立っていない。関係者の一人は「大切な石碑。交通の支障にならないためにも修繕を急ぎたい」と話している。