北米で『ウィキッド ふたりの魔女』がミュージカル映画の新記録待ったなしのオープニング!“Glicked”が感謝祭シーズンを盛り上げる
例年ビッグタイトルが顔をそろえる、感謝祭(今年は11月28日)からクリスマスシーズンに向けた書き入れ時が本格的にスタートした先週末(11月22日から11月24日)の北米興収ランキング。その先陣を切って『ウィキッド ふたりの魔女』(2025年春日本公開)と『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(日本公開中)が公開されたことで、昨年夏の『バービー』(23)と『オッペンハイマー』(23)の“Barbenheimer(=バーベンハイマー)”さながら、“Glicked(=グリックド)”なるミームが登場するほどの熱狂となっているようだ。 【写真を見る】20年越しで悲願の映画化が実現!待ちに待ったファンの熱狂が、『グラディエーターII』にも波及? “Barbenheimer”では『バービー』が『オッペンハイマー』にダブルスコア近い差をつけて初週のトップを飾り、最終的には前者が6億ドル、後者は一度も首位に立たないまま3億ドルを突破する北米興収を記録することとなった。今回の“Glicked”では、『ウィキッド』が『グラディエーターII』にダブルスコアをつけるオープニング興収1億1250万ドルを記録(だとすると、“Glicked”ではなく“Wickediator”なのではという声もあるようだが)。これは2024年公開作としては第3位、歴代63位の見事なオープニングだ。 2003年にブロードウェイで初演されたミュージカルを原作にした『ウィキッド』。その映画化の話は実に20年も前から何度もあがっては消えを繰り返しており、一時はスティーヴン・ダルドリー監督のメガホンで実現するという話や、具体的な公開日まで設定されていたにもかかわらず実現には至らず。それがコロナ禍を経て、ジョン・M・チュウ監督のもとで2部作としてようやく実現。まさに待望の実写映画化と呼ぶにふさわしい企画だ。 その期待値の高さを示すように、先述のオープニングを飾った後も順調に興収を重ね、公開4日目には『イントゥ・ザ・ウッズ』(14)、公開5日目には『マンマ・ミーア!』(08)、公開6日目には『レ・ミゼラブル』(12)と、ブロードウェイミュージカルの映画化の成功例たちの最終興収をあっという間に突破。『シカゴ』(02)や『グリース』(78)の興収成績を塗り替えることもほぼ確実で、実写ミュージカル映画の歴代最高記録を更新するのは時間の問題だ。 一方で2位に敗れた『グラディエーターII』ではあるが、初日から3日間で興収5500万ドルと、直近でいえば『ヴェノム:ザ・ラストダンス』(日本公開中)を超える好成績。現時点でのリドリー・スコット監督の最大のヒット作である『オデッセイ』(15)のオープニング興収が5430万ドルだったので、それ以上。オープニング成績だけで比較すれば『ハンニバル』(00)に次ぐ歴代2位のスタートを飾った。ちなみに24年前の前作はオープニング興収3481万ドルを飾り、最終は1億8700万ドルで着地。『ウィキッド』に追いつくことよりも、まずは前作超えがひとつの指標となることだろう。 “Glicked”(あるいは“Wickediator”)の相乗効果は、感謝祭の連休と重なることでさらなる爆発的な化学反応をもたしてくれることは間違いない。ちょうどその連休にめがけて公開される『モアナと伝説の海2』(12月6日日本公開)も加わり、“Moaglicked”なるビッグウェーブが巻き起きる可能性も充分に考えられる。 文/久保田 和馬