オカモト監督が語る『メカウデ』誕生秘話 自主制作から新時代メカアクションへの軌跡
敵が味方に、(味方が敵に?)めまぐるしく関係性が変化する物語
――キャストさんへの印象もお聞きできたらと思います。主人公コンビの豊永利行さん・杉田智和さんについてはどんな印象をお持ちですか? オカモト:豊永さんと杉田さんに関しては、こちらからオファーを出して出演のお願いをしました。豊永さんに関して言うと、私がアニメを観てきたなかで初めて演技がすごい! と意識した方です。「こんな声の演じ方があるんだ」と感動した作品に『デュラララ!!』というアニメがあります。あれを観て豊永さんの演技に魅入ってしまいました。その非常にナチュラルな演技に魅力を感じ、その表現は『メカウデ』のヒカルにぴったりだなと思いました。杉田さんに関しては、私というよりむしろ周りのスタッフが「ぜったい杉田さんだ!」と推してくれたので、主人公の役は私の方で決めて、パートナーキャラについてはあえて他者の意見を取り入れて、という経緯で選ばせていただきました。お二方ともパイロット版のときから参加していただき、このプロジェクトを応援してくださったので、とてもありがたく思っています。 ――他の主要キャラはいかがでしょうか? オカモト:アキに関しては私とスタッフの意見が一致して嶋村侑さんがいいということでオファーを出しました。アキは怖いんだけどちょっと天然なところがあるキャラで、そういうところを嶋村さんにナチュラルに演じていただけたのでぴったりだったなと思っています。あとはカガミ役の朴璐美さんは、やはり私の世代としては小柄でツンツンした男の子は朴さんに演じていただきたいという気持ちが強くありました。 ――特にお気に入りのキャラはいますか? オカモト:主人公のヒカルが一番のお気に入りではあるんですが、作品を通して観て「いいな」と思ったキャラは第2話から登場するワナーです。もともとワナーはカゲマルというメカウデを、自我を奪って飼い慣らしていたのですが、カゲマルの自我が戻った途端、その独特な正義感(自称、武士道精神)を持った性格から、逆にワナーのほうが叱られたり更生を促されたりして弱々しいキャラになってしまう。最終的にどう成長するか、いや成長はしないかもしれないですが、他のキャラクターたちとの関わりが目まぐるしく変わっていく人物なので、ワナーはかなりお気に入りですね。一番「普通」の人間×メカウデコンビというか、「一般人がメカウデを手に入れたらどうなるか」みたいなところで共感しやすいんじゃないかなと思っています。 ――ワナーとカガミはもともと敵として現れたはずが、早くも第3話~第4話あたりから当たり前のように主人公サイドに溶け込んでいて、それもおもしろいなと思ったんですよね。これはやはり「かつてのライバルと共闘」的な展開への憧れですか? オカモト:それはあります。やはり様々なキャラクター同士が出会ったらどうなるか見てみたいという気持ちがあります。すぐに敵が味方になってしまい、逆に味方が敵になることもあるかもしれない。いろいろなキャラクターの側面を描きたいという気持ちからそういう展開になっています。 ――僕はメルちゃん(シラヤマ・メル)がお気に入りなんですが、彼女はやたらと主人公周りのキャラをカップリングさせたがりますよね。そういう「いろいろな関係を描きたい」「異質なもの同士をくっつけたい」という監督の思想を体現しているキャラなのではないかと勝手に解釈していたんです。 オカモト:メルちゃんはもともと私が考えたキャラではありませんが(笑)、たしかにメルちゃんがいることによってキャラクターたちをくっつけたがっている思いが伝わりやすくなったのかもとは思います。 ――『メカウデ』はそろそろ終盤に差し掛かるところですが、今後の展開を踏まえて視聴者の方にメッセージをお願いします。 オカモト:ここからストーリーは後半に入っていきますが、実はまだ新しいキャラが出てくるかもしれない……ということで、最後まで見どころたっぷりでお届けしますので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。 ――実はメルちゃんが黒幕とかそういうことは……? オカモト:それはないです(笑)。たしかに「メルちゃん黒幕説」は多くの人が話していて、私も脚本段階でメルちゃんが黒幕とか彼女がアマリリスを従えていたらおもしろそうだとは思いましたが、ここまでの展開でさすがにもうそれはないという段階まで進んだので、はっきりと黒幕ではないと言っておきます(笑)。 ――じゃあシンプルに主人公カップルをくっつけたいとしか考えていない変人キャラを上田麗奈さんが演じているだけ、ということですね。 オカモト:そうですね。一般人代表だけど一般的じゃない変人キャラですね。 ――最後に貴重なお話を聞けてありがたいです。今後の展開も楽しみにしています。 オカモト:ありがとうございます。
徳田要太