エリザベス女王杯、男馬相手にひるまぬパワーの持ち主に注目 井崎脩五郎のおもしろ競馬学
エリザベス女王杯は、大波乱が起きるレースとして知られている。 単勝配当が5000円を超えた優勝馬が、じつに5頭もいるのだ。年代順に書き出してみよう。 【写真】2021年のエリザベス女王杯を制したアカイイト <年度> <優勝馬> <単勝> 1984年 キョウワサンダー 5030円 89年 サンドピアリス 4万3060円 92年 タケノベルベット 9130円 2009年 クィーンスプマンテ 7710円 21年 アカイイト 6490円 これら5頭のなかでも、とびきりの異彩を放っているのが、サンドピアリスである。20頭立ての20番人気で、単勝配当が4万円を優に超えたのだ。 どうしてこんなに人気がなかったのかというと、それは成績を見れば一目瞭然。 デビュー以来、勝ったのはダート戦のみ。芝では⑨⑧⑨着とすべて着外。 しかも、その得意なはずのダート戦で、エリザベス女王杯の直前3走、⑧⑨⑥着に負けていたのだから、芝のエリザベス女王杯で好走するなんて、誰も思うはずがない。ところが勝ってしまった。 なぜ勝てたんだろうという話になって、浮上したのが、同馬の母イエンライトの存在。 イエンライトは、ダートでばかり10勝。そのうち9勝は男馬相手。この、男馬相手にひるまないパワーとスタミナの血が、エリザベス女王杯の長い距離でモノをいったのではないか―という見方が浮上したのだ。 この見方は、間違っていないかもしれない。じつは、前記した、エリザベス女王杯で単勝の大穴をあけた5頭はいずれも、前3走のどこかで男馬相手のレースに出ていた馬なのである。 男馬相手のそういうキツいレースに出てモマれた馬のほうが、エリザベス女王杯の長丁場で、デッドヒートに耐える力を持っているのかもしれない。 その視点に立つと、今年いちばんキツかったGⅠ、コースレコードで決着がついた皐月(さつき)賞で上がり最速で6着に突っ込んできたレガレイラは、人気に応えてくれるかも。(競馬コラムニスト)