沼津市大平地区 また浸水被害 新ポンプ場間に合わず
前線や低気圧の影響による激しい雨から一夜明けた19日、静岡県東部では床上浸水などの被害が各地で確認された。沼津市ではこれまでも浸水被害が頻発している大平地区に被害が集中し、伊豆市では観光施設に濁流が流れ込んでいた。住民や従業員は早朝から、後片付けに追われた。 沼津市大平地区は2007年と19年にも、浸水被害に見舞われた。18日は夜までに、民家など約30軒が床上まで浸水した。大平江川があふれ、深いところで50センチ以上冠水した。市は同日、大平江川の水を狩野川に流すため、ポンプ場の4台を稼働した。新たに導入した可搬式ポンプ1台も動かしたが、被害を食い止められなかった。 自宅が床上浸水した内田祐司さん(68)は「今回は水が床上に達するまでの時間が早かった。慌てて畳を上げた」と、度重なる被害に疲れた表情で語った。 同地区では26年度中の完成を目指し、ポンプ場の増設工事が進む。自身も被害に遭った大平地区連合自治会の鈴木正彦副会長(58)は「完成の前にまた大雨。間に合わなかった」と残念がる。床上浸水した介護老人保健施設おおひら事務長の小出篤さん(52)は「可搬式のポンプが動いていたから、この程度で済んだのかもしれない」と、不安な一夜を過ごした利用者を案じながら語った。 ■伊豆の観光施設には濁流 伊豆市の観光施設「修善寺時之栖」では同日、温泉に山側の用水路からあふれた水が流れ込んだ。1階のロビー約10平方メートルが水に浸り、2階は数カ所が雨漏りした。19日は通常通り営業したが、来店客から被害を心配する声が聞かれた。岡村悠太郎支配人は「ここまでの被害は初めて。大雨時は、周囲の状況にも気を配りたい」と話した。
静岡新聞社