中小型株ファンドは新NISAで人気の「オルカン」「S&P500」を補完する?
新NISAが始まって、一番人気が「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の積立投資で、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「SBI・V・S&P500インデックス」、あるいは、「iFreeNEXT FANG+インデックス」など米国株インデックスファンドの人気もある。いずれも、時価総額の大きな銘柄で構成されたインデックスであり、その上位組み入れ銘柄は、米国を代表する「マグニフィセント・セブン」といわれる大型ハイテク株などが中心になっている。これら代表的なインデックスが史上最高値に上昇したことで、出遅れている銘柄群として中小型株に注目したファンドが人気化しつつある。前週の資金流入額のトップに「インド小型厳選株式ファンド」が立ち、国内の小型株に投資する「ひふみマイクロスコープpro」もトップ10に入った。また、「フィデリティ・新興国中小型成長株投信(愛称:エマージング・ハンター)」の新規設定も発表されている。この中小型株に着目した投信の人気が定着するものか注目したい。
投資で成功する秘訣は異なる性格の資産に幅広く投資することだ。魅力ある投資先を見つけて、そこに一点集中投資した方が、投資資金の効率的な活用につながりそうだが、これと決めた投資対象が思惑通りに値上がりするとは限らない。上がると思った資産が下落し、思わぬ資産が大きく値上がりするというようなことはよくあることだ。そこで、様々な資産を少しずつ保有して、個々の資産に上がり下がりはあっても、全体として緩やかに成長するような分散投資ポートフォリオを保有することが推奨されている。
ところが、現実の市場は、一部の人気ある資産に誰もが揃って投資するということになりがちだ。現在の資金流入上位ファンドを見ても「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」、「インベスコ世界厳選株式オープン」、「半導体関連 世界株式戦略ファンド」など、個々に特徴のあるファンドとはいえ、その組入れ上位銘柄の顔ぶれを見ると、マイクロソフトやアップル、エヌビディア、アマゾン、メタ・プラットフォームズなど米国を代表するハイテク大型株の組み入れが目立つ。もちろん、それぞれのファンドの投資方針にそって、英国の金融サービス会社「3iグループ」や米不動産の「アメリカン・タワー」、あるいは、米ヘルスケアの「ユナイテッドヘルス・グループ」やエナジードリンクで知られる米「モンスター・ビバレッジ」など、ハイテク株にカテゴライズされない銘柄への投資も無視できないが、総じて「米国の大型株」を主たる組み入れ銘柄にしているということはできる。