「亥の子のぼた餅祝いましょう 一つや二つじゃ足りません」歌って収穫感謝 消えゆく祭り、京都で今も
秋の実りに感謝する伝統行事「亥(い)の子(こ)」が19日夜、京都府亀岡市畑野町土ケ畑で行われた。子どもたちが集落の家々を回り、今年収穫した稲わらで作った棒で玄関先を力いっぱいたたき、福を呼び込んだ。 旧暦10月の亥の日に西日本で広く行われたが、少子化などで市内でも続くのは土ケ畑だけという。山里の日が暮れた午後6時から、3歳から中学1年までの男女9人が保護者らと約20軒を回った。 玄関前で「亥の子のぼた餅祝いましょう 一つや二つじゃ足りません」と歌いながら、わらを縄で束ねた棒「イノコ」を玄関先の地面に何度もたたきつけた。家人からご祝儀を渡されると、再びたたきながら「福の神 舞い込め舞い込め もひとつ舞い込め」と唱えた。 一緒に付き添った地元住民(67)は、かつては男子小中学生の子どもたちだけで回っていたといい、「この日作ってもらえるぼた餅が楽しみだった。子どもは減ったが、時代に合った形に変えて伝統を残していきたい」と話した。