長期金利は今後も市場形成が基本、急騰なら機動的オペ-植田日銀総裁
(ブルームバーグ): 日本銀行の植田和男総裁は4日、1%台に上昇している長期金利について、市場で形成されることが基本になるとの見解を改めて示した。参院財政金融委員会で答弁した。
総裁は、3月の金融政策決定会合でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)を撤廃して長期金利の誘導目標や上限のめどをなくしたと説明。「長期金利は今後も金融市場において形成されることが基本となると考えている」と語った。
その上で、大きな不連続性を避けるため、国債買い入れはそれまでと同じ金額で継続し、「長期金利が急激に上昇する場合には、市場における安定的な金利形成を促す観点から機動的にオペを実施する」と述べた。
日銀は3月に17年ぶりの利上げに踏み切ったが、物価上昇圧力の継続や外国為替市場での円安傾向を背景に、市場では早期の追加利上げや国債買い入れの減額に対する思惑が強まっている。長期金利は5月30日に一時1.1%と約13年ぶりの高水準を付けたが、植田総裁は改めて市場での金利形成を重視する考えを示した。
現在の中心的な政策手段である短期金利操作に関しては、日銀の見通しに沿って基調的な物価上昇率が高まれば金融緩和度合いを調整していくとし、経済・物価見通しやそのリスクが変化する場合も「金利を動かす理由となる」と説明。あくまで政策目的は物価の安定だとし、日銀の財務への配慮や財政資金の調達支援のために必要な政策の遂行が妨げられることはないと述べた。
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Sumio Ito