【大学野球】「初見でこの球を打ってみろ!」宝刀チェンジアップで好リリーフ早大・安田虎汰郎
「我慢強い投球を心掛けた」
先発した背番号11の右腕エース・伊藤樹(3年・仙台育英高)は6回途中で降板し、二番手の左腕・香西一希(2年・九州国際大付高)の好救援を受けてのリリーフだった。 「自分も高校時代は先発を務めていましたから、降板する悔しさは理解できる。伊藤さんのためにも、我慢強い投球を心がけました」 東京六大学リーグでも実証されているように、初対戦で攻略するのは難しい。いくら映像で研究を重ねていたとしても、実際に打席で対戦してみないと分からない。安田の魔球・チェンジアップは、そこまでの決定力がある。仮に狙い球を定めたとしても、フルスイングするのが難しい、独特な軌道なのである。 「高校時代は一つの球種として投げているだけでしたが、大学入学後、意識的な問題ですが、入れたり、抜いたり、操れるようになりました。投球の幅が広がっている」 これまで関わった人への感謝を忘れない。 「良い星の下に、生まれていると思います」 記憶力も抜群。一度、取材を受けた記者、カメラマンの顔をすぐに覚え、次のタイミングで会うと「この前はありがとうございました!!」と笑顔で会釈する。律儀な新入生で、コミュニケーション能力が格別に高いのだ。 リーグ戦を通じて10回1/3無失点。「意識しないようにしています。目の前の打者に集中し、一人ひとりの積み重ねです」。日大三高のエースとして出場した昨夏の甲子園は3回戦で敗退した。「今も夢に出てくるぐらい悔しい思いをした。決勝は負けられない」。 早大は9年ぶりの大学日本一へ、あと1勝である。対戦する青学大には、日大三高で3学年上の左腕・児玉悠紀(4年)がいる。「伝説の人、です。同じ舞台に立てるのがうれしい」と、目を輝かせた。ブルペン待機する安田は、取り組んできたことを発揮するだけだ。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール