<スマートスタイル>センバツ平田 第3部 横顔点描/10止 マネジャー 江角さん、飯塚さん、郷原さん /島根
◇選手を全力サポート 江角(えすみ)ふうかさん(2年)、飯塚由真(いいつか・ゆま)さん(1年)、郷原柚希(ごうばら・ゆずき)さん(1年) 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 練習前は選手より早くグラウンドに出てスポーツドリンクを作る。練習中は球拾いをし、自打球を当てて痛がる選手がいればすぐさま冷却スプレーを持って駆け寄る。相手打者の特徴を綿密に分析し、細かく位置を変える平田の守備に不可欠なスコアブックを付けるのも仕事。全力でチームをサポートする3人のマネジャーたちだ。 「スコアブックの書き方が分からず苦労した」と苦笑いを浮かべるのは江角ふうかさん(2年)。周囲に気配りする力を高めたいと思って入部した。植田悟監督がかつて指導した出雲高を卒業した兄から「植田監督は厳しいよ」との助言を受け、あえて野球部に身を置こうと考えた。 とはいえ、本塁打が出ればランナーの有無で得点が変わることすら知らなかった。1年時の夏の練習試合ではスコアの記入を誤り、植田監督から「別のマネジャーと代われ」と厳しく叱られたことも。負けじと、高校野球やプロ野球の試合をテレビで見ながら記入する練習を繰り返した。「今では複雑なプレーも慌てずに記録できる」と胸を張る。 江角さんが「スコア記入に苦戦せず、気遣いもできてすごい」とたたえるのが飯塚由真さんと郷原柚希さんの1年生コンビ。小学生の時に野球をプレーしていた飯塚さんとプロ野球観戦が好きな郷原さん。昨秋の県大会で2人は、対戦に備えて開星や大社など強豪校の試合を観戦してスコアを完成させ、植田監督に報告する重要な任務を果たした。郷原さんは「チームの戦術に少しでも役に立っていると思うとやりがいを感じる」と笑う。 飯塚さんは昨年、家族で夏の甲子園を観戦した。「ブラスバンドの応援やスタンドを埋め尽くした観客に目を奪われた」と振り返り、「うちの選手たちが躍動する姿を見たい」と期待を膨らませる。 江角さんは「選手の調子が狂わないよう、私たちも緊張感を持って練習に取り組みたい」。聖地の春風を思い切り吸い込むつもりだ。=第3部おわり。鈴木周が担当しました