欧州は「極右ポリコノミー」…環境規制後退時には韓国のバッテリー輸出に影響
フランスやドイツなど欧州各地で極右政党が勢力を伸ばし、韓国経済に及ぼす得失にも関心が傾く。欧州連合(EU)は韓国にとって上位3位の輸出先だからだ。 欧州最大強国であるフランスでは極右政党の国民連合が先月30日の総選挙1回目の投票で33.1%の得票率で与党連合の20%を抜いて圧勝を収めた。7日の2回目の投票で異変がなければ国民連合が第1党となる見通しだ。 フランスとともにEUの軸であるドイツも極右政党が勢いを増している。極右政党である「ドイツのための選択肢」(AfD)が9月に東部テューリンゲン、ザクセン、ブランデンブルクなどで開かれる主選挙で1位を占めるだろうという予想が出ている。 先月6~9日の欧州議会選挙でも同様の傾向が現れた。EU加盟27カ国の有権者3億7000万人が議員720人を選出した今回の選挙で、中道右派政党が184議席(25.6%)で1位を守った。だが強硬右派性向の「欧州保守改革」(ECR)がこれまでの69議席(9.8%)から73議席(10.1%)、極右政治グループ「アイデンティティーと民主主義」(ID)が49議席(7.0%)から58議席(8.1%)と議席を増やした。 欧州で反移民、親ロシア、保護貿易主義を掲げる極右政党の躍進はポピュリズムの影響とみられる。英エコノミストが「経済が政治に振り回される『ポリコノミー』(経済の政治化)現象が拡散するだろう」と予想した理由だ。極右政党は関税を引き上げ、半導体や人工知能(AI)のような先端産業分野に対する政府の介入を増やすなど、保護貿易主義を一層強化する可能性が高い。米国と同様の政策を展開する可能があるという話だ。これに対しこれまでEUが主導し推進してきた気候変動対応などの環境規制は後退する恐れがある。 韓国は実質国内総生産(GDP)で輸出が占める割合が2023年基準で35.7%だ。EUが輸出で占める割合は米国、中国に次いで3番目に大きい。EU向け輸出品目1位は自動車だ。最近では電気自動車と二次電池の輸出が好調だ。 韓国貿易協会のチャン・サンシク動向分析室長は「炭素排出量制限など既存の環境規制を完全にひっくり返すのは難しいが、速度調節は避けられないだろう。EUが自動車燃費規制を大幅に緩和して電気自動車転換速度を遅らせればそうでなくても難しい二次電池輸出が打撃を受けかねない」と予想する。対外経済政策研究院のオ・テヒョン上級研究員は「欧州の対中牽制強化が韓国の輸出に利益を与える可能性もある。米国と同じように規制リスクを最小化できる対応戦略を用意しなければならない」と話した。 為替相場がドル=1400ウォンに迫る状況で為替相場も揺れ動きかねない。超ドル高、超円安に苦しめられる韓国にユーロ安が変数になる可能性があるためだ。新韓銀行のペク・ソクヒョン研究員は、「欧州はそうでなくても財政赤字に苦しめられている。極右政党が財政支出を増やせばユーロ安をあおる恐れがある。世界の外国為替市場でユーロとドルの取引量が最も多いだけにユーロが弱くなるほどドル高の流れが強まるかもしれない」と懸念する。