GDPと五輪メダル数に見える相関関係 「人口当たり」の1位は米中でなく、あの小国
石附さんは「米国の強さの源泉は多様性。人を引きつける磁力がある社会は、活力があって経済成長している。日本は人口減で経済が厳しくなり、移民がいないと成り立たない社会になってくる。どのくらいまで受け入れるのかという議論をしていくことが必要だ」と指摘。多様性の大切さは「スポーツでも同じでしょう」と話す。 一方、リポートによると、東京五輪のメダル数上位25カ国の「人口100万人あたりのメダル数」では、様相が変わる。 ニュージーランド(NZ)が4.15個と最多で、オランダ(2.10個)、ハンガリー(2.07個)と続く。米国は0.34個、中国は0.06個にすぎず、日本も0.46個だ。 人口500万人余りのNZは、メダル20個のうち、カヌー、ローイング(ボート)、セーリングの水上スポーツ3競技が9個を占めた。 地元オークランド大学のトニ・ブルース教授(スポーツ社会学)に尋ねると「多くの人々が水辺の近くに住み、水上スポーツが身近にある。子どもたちが興味を持てば、地域に根を張るクラブで親しめる」と答えた。 子どものうちは、いろいろなスポーツをすることが推奨される。サッカーやラグビー、バスケットボールに似たネットボール、陸上も盛んだ。そうすることで様々なスキルや身体能力を育むという。 エリート選手の強化に国から年4300万NZドル(約41億円)が投じられ、五輪のトップ選手への支援は年3万2500NZドル以上の助成のほか、首相名の奨学金も。見えてくるのは「いつでもスポーツを楽しめる風土」(ブルース)が根付き、アスリートが尊敬される社会だ。
朝日新聞社