松尾潔が母校・修猷館高校出身者のヘイト投稿めぐる裁判にラジオで言及
僕は金さんとはこの日が初対面でした。共通の知人を介して「松尾さんの母校でこんなことが起こっているのを知っていますか」と言われて驚きました。自分も急に当事者意識が湧きました。 僕も進学で東京にやってきた一人で、やはり地元出身の友達は心強いものです。福岡で知り合って東京で生活するときに、寄り添うような気持ちがあったその相手が、あるとき急に「松尾はどこどこの生まれだろ」と言ってネットに書き散らすというのは、想像したくない出来事です。 ■自分に鐘を鳴らしておかないと責め立てる側になる可能性がある 金さんに同情する気持ちはもちろんありますが、僕も気をつけないと、自分の胸の中にある鐘を常に鳴らしておかないと、分断する側、あるいは金さんを責め立てる側=被告男性の立場になる可能性もある。それぐらいの弱さがあるなとも思いました。 加虐する側の快感は、恐ろしいことに生活する中に随所に転がっていると思うんです。子供たちが他愛なくからかっているのを、なぜ親が注意しないといけないかというと、そのまま放置しておくとそれを快感として捉えてしまう機能が、残念ながら人間にはあるからなのだと思うのです。 今回の裁判、双方言い分があるにしても、悪い人はどちらなのかということは、割とはっきりしている話に見えます。しかし、問題はなぜ50年もの間、仲良くしてきた間柄で、急にそうなってしまったかということです。 「お前とはもう口をきかない」ということはあるかもしれませんが、その人の出自まで言及するというのは、最近よく社会問題として言われる「高齢化して思想が極端に右傾化する人が多くなっている」というものが、ここに表れているのかなという気もします。 ■自分が被害者、加害者になってしまうかもしれない 同じ修猷館高校の卒業生で、イギリスから社会への提言などを発信していることで知られている、ブレイディみかこさんが今回これに関してコメントを寄せています。
“今回の訴状に記載された投稿記事の数々は、人道の観点のみならず、法的にも許されないことを明確に主張していかなければ、日本は「人権問題に難がある国」という対外的印象を裏付けすることになってしまいます。大人は、そのような社会を未来の世代に残すべきではありません。” 「人民の権利を固守する」という表現をブレイディさんはしていますが、まさにこれ、いつ自分が被害者に、あるいは加害者になってしまうかもしれないという意識で、この問題を捉えて、福岡のリスナーに広く知って考えてもらいたいと思います。
RKB毎日放送