大阪桐蔭と東海大相模の東西強豪対決、吹奏楽部はオンライン応援合戦 交流試合
東西の強豪校が激突する2020年甲子園高校野球交流試合最終日(第6日)の第1試合。大阪桐蔭と東海大相模(神奈川)の両校は試合当日、それぞれ校内の大型スクリーンで観戦しながら、吹奏楽部などが応援する様子をテレビ会議システムでつなぐ「オンライン応援合戦」を計画している。新型コロナウイルスの感染を防ぐため、保護者ら以外は無観客試合となるが、両校の吹奏楽部は「遠く離れていても気持ちが届くように、最大限の応援の気持ちを込めて演奏したい」と練習に励む。 【写真特集】センバツ交流試合の全ホームラン 相模原市南区の東海大相模の小ホールで4日、吹奏楽部の合奏練習が行われた。「密」を避けるため、参加したのは全部員の3分の1程度の約40人。飛沫(ひまつ)を防ぐため、部員はマスクに切り込みを入れ、そこからマウスピースを通して楽器を演奏した。マスクでの演奏が難しいフルートなどの場合はフェースシールドを着用する。同校の野球応援で毎年演奏される、東海大系列で使われるオリジナル応援曲「Tのマーチ」などを練習した。曲の合間には「T・O・K・A・I」というかけ声が響いた。 ◇吹奏楽部同士は以前から親交 両校の吹奏楽部は18年に千葉市であった、野球の応援に特化した演奏会「野球応援コンサートEXPO」で初共演し、その後も親交が続く。7月8日の組み合わせ抽選会で両校の対戦が決まると、東海大相模吹奏楽部の矢島周司顧問はすぐに無料通信アプリ「LINE(ライン)」で、「リモートで応援合戦をやりませんか」と大阪桐蔭吹奏楽部の梅田隆司監督に声をかけた。梅田さんは「やりましょう」と快諾。その日のうちに、オンライン応援合戦が決まった。両校とも新型コロナの影響で吹奏楽部は6月ごろまでの3~4カ月間、部活動が休止になった。春のセンバツだけでなく、今夏のコンクールも中止が決まり、活躍の場が奪われていた。矢島さんは「披露させてもらえるという喜びを音に表現したい」。 東海大相模吹奏楽部は試合当日、応援団やチアリーダーらとともに総勢約130人が同校から甲子園に応援を届ける。同校のマーチングチームリーダーの山内咲也花さん(3年)は「3年生として最初で最後の野球応援になる。今まで応援してきた3年生の野球部員の集大成を応援できることがうれしい」と意気込む。 休校中は自宅からのテレワーク演奏が話題を呼んだ大阪桐蔭の吹奏楽部。6月の活動再開後も感染のリスクを減らすためにグループ分けして練習。7月23日にようやくみんなで音合わせができた。大阪市港区の丸善インテックアリーナ大阪を借りて間隔をあけ、フェースシールドを着用しながらの演奏。通常のコンクールであれば同じ楽器の奏者ごとに集まるが部員205人の大所帯が間隔を取ると他の楽器の音が聞こえづらくなるため、同じ楽器の奏者を半円形の列ごとに配置する工夫もなされた。 同校の定番の応援曲「TOINコール」や、行進曲「サーカス・ビー」を練習。ベンチ入りの選手20人、一人一人にあるテーマ曲も決まった。18年に甲子園で春夏連覇した時の主力、根尾昂選手(現中日ドラゴンズ)の応援曲「パワプロ」は仲三河優太選手(3年)が使い、藪井駿之裕主将(同)は甲子園の常連、智弁和歌山の定番曲「アフリカン・シンフォニー」を選択した。「残り物だったのですが、智弁和歌山の曲が好きで」と照れ笑い。 野球の試合は、どう展開するか読めない。吹奏楽部の梅田監督は予定していた曲を試合の流れによってがらっと変えるため、どの曲を選択するか、指揮にも注目だ。同校が優勝した18年夏に甲子園のアルプススタンドで演奏した松本望未部長(3年)は「演奏会と同じで甲子園も観客と一体となって応援できるのが魅力。元気を与えられるような演奏をしたい」と語った。【宮島麻実、荻野公一】