“360度の視野”を持つ毎熊晟矢が初の欧州カップ戦で堂々たるパフォーマンス! カメレオンのようにピッチを縦横無尽【現地発】
「すっかりAZの右SBは日本人の定位置になった」と番記者
ヘルシンボリ戦の74分、毎熊はまるで本職の10番のようにピッチ中央でターンして右のサディクへパスを出した。そこからサディクがCFパロットとワンツーでボックス内に入り込み、ファウルを受けてPKを得る(パロットが成功させて3−2)。その過程で毎熊はゴール正面でストライカーとしてクロスを待ち受けていた。 アヤックスで右SBを務めていた頃のユリアン・ティンバー(現アーセナル)が、そんなタイプのプレーヤーだった。アヤックスが攻撃に転じると彼はMF、ウイング、ストライカー、左インサイドハーフ…とカメレオンのようにピッチ上の振る舞いを変え続けた。 「学生時代の僕を知っている人たちは、こうやってプロでやれていることにビックリしている人が多いかなと思います」と語る毎熊だが、そのプレーぶりを見ていると、学生時代からのすべてが今に繋がっているのだと感じさせる。 もちろん、チームが2失点を喫したこともあり、毎熊にも反省すべき点はある。そのひとつが味方CBとの連携だ。 ELではアスレティック・ビルバオ(スペイン)、トッテナム(イングランド)、フェネルバフチェ、ガラタサライ(ともにトルコ)、ルドゴレツ(ブルガリア)、ローマ(イタリア)と欧州各地で強豪と戦うAZ。ヘルシンボリ戦で浮き彫りになった課題を織り交ぜながら、毎熊はELでの意気込みをこう語る。 「国によってスタイルが変わってくると思いますけど、相手のスタイルに合わせて戦うことは理解してます。周りとのコミュニケーションも日を追うごとに取れるようになってきました。センターバックの選手と上手くいかなかった部分を話し合いながら良くして、自分の良さを出していきたい」 オランダ全国紙のAZ番記者が「すっかりAZの右サイドバックは日本人の定位置になった」と言って笑っていた。菅原由勢(現サウサンプトン)はAZが手塩にかけて育てていった右SB。一方、毎熊はJ1とJ2で経験を積み、日本代表プレーヤーまで上り詰めてからオランダに上陸した即戦力。AZの右SBのポジションは、菅原から毎熊へキレイにバトンが渡った。 取材・文●中田 徹
【関連記事】
- 「サッカーは0.1秒で世界が変わる」欧州一年目の毎熊晟矢がさっそく躍動! オランダの首位チームで冴え渡る“非凡な予測力”【現地発】
- 「Jリーグに帰ることになるかと…」欧州3年目、好機を掴んだ日本人SBの存在感がベルギーで増大中! 支えてくれた“同胞レジェンド”に感謝【現地発】
- 「日本人ばっかり出して」「弱いじゃないか!」ファンが不満を抱いたSTVVが100周年で挑む“ユース育成改革”の全容~立石敬之CEOに訊く【現地発】
- 断トツ最下位だったコルトレイクを1部残留に導いた藤井陽也。指揮官も「お前はもっと上でやれる」と太鼓判を押す特大のポテンシャル【現地発】
- 「俺を置いといてくれよ!」悔しさを糧に突き進むストライカー小川航基は前のめりで“昨季15ゴール超え”を狙う。「前半戦からガンガン量産しないとダメ」【現地発】