【デーブ大久保コラム】小久保監督の勝つためのイズム。ソフトバンクには浸透しています
【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】 打率は低いですが、19試合が終わって22打点ですか、こういう打者が加わったことで、打線の流れがよくなるのは必然です。西武からFA移籍した山川穂高が、ブンブンとバットを振っています。もともとすごい打線ではあるので、めちゃくちゃ相手バッテリーは気を使うでしょうね。パ・リーグで現在、首位を走るソフトバンク。今年の強さは本物だと思います。 【選手データ】小久保裕紀 プロフィール・通算成績 昨年までの監督、藤本(藤本博史)さんが若手を育てながら、主力をうまく休ませたりして、次の監督のためにも、というような采配というかチーム運営をしているように見えました。そのおかげもあってだと思うのですが、今年は打線の中心になる打者たちが、開幕から元気です。 それと同時に、「今年こそは絶対に優勝だ」という各選手たちの強い気持ちを感じた春季キャンプのときの気迫がそのままシーズンで発揮されています。もともと、素晴らしい選手ばかりがいるチームですから、そういう気持ちが一つになれば強いのは当たり前です。 そうであってここまで、各打者は本当に好調です。4月21日時点で近藤健介が打率.318でOPSも.988と高い数字ですよね。柳田悠岐も打率.299くらいです。そこに周東佑京が3割台。健太(今宮健太)も2割8分台を保っています。そこに山川が打点を挙げる。相手バッテリーはどうやってこの打線を止めろ、というのでしょうか。 19試合で76得点ですから、1試合平均4点。チーム防御率が2.54ですから、投手陣も安心して腕を振れるはずです。盗塁数も16個とリーグ1位で、バットで得点を挙げるだけでなく、走塁にも長けていることが分かります。本当にスキのない打線だと思います。 スキがないということは、チーム打撃もしっかりできているという証拠でもあります。優勝するためにやはり一人ひとりが「チームの勝利のために」という思いでバットを振っていると思います。その辺りは、小久保(小久保裕紀)新監督自身が、王(王貞治)イズムを継承していますし、秋山(秋山幸二)イズムも分かっているはずです。2人の直系の後継者ですから、徹底的に意識をさせているはず。 それとヘッドコーチに奈良原(奈良原浩)がいることが大きいと思います。現役時代、西武黄金期を体験していますし、王イズムのこともしっかり理解していると思います。勝負に対してはシビアな首脳陣2人が、選手たちに、もう一度「勝つためには」という指導をしているはずです。それを一流の選手たちが、もう一度肝に銘じることで、早い段階で結果が出ているのだと思いますし、この強さは今年1年続くと思いますね。 懸念点をあえて言えば、投手のほうでしょうか。まだ少し不安定な部分はあります。あとは打線が打ちまくって、投手陣を援護していくのが望ましいです。もしかしたら、このまま打線が最後まで打ち続けるかもしれませんが……。 『週刊ベースボール』2024年5月6日号(2024年4月24日発売)より
週刊ベースボール