<草なぎ剛>年齢に「どう楽しんで抗っていくかが人生のテーマ」 白石和彌監督の世界観に「気持ちも乗った」
そうして作り上げた格之進の生き方には、「僕的には面倒な人だなって(笑い)。いろいろこだわったり、娘に迷惑をかけたり、平和に暮らせばいいのに、と思うと少しイライラもするし、演じながらもイライラはしていた」と感じていたという。
「それも相まって演じられたのもありますけど、相反して譲れない気持ちとか古き良きものの中にある魂も感じた気がします。現代に忘れかけているような気持ちというか、監督もそこは大事にされていた。僕としては面倒くさい男だと思いながらも、一方では僕にはわからないこだわり、曲げられないカッコよさに、必死についていっていました」
前半の穏やかな雰囲気から一転、中盤以降は格之進が怒りに震えて復讐へと走るが、草なぎさんは「白石監督の作品は一枚の布に血がジワーってにじんでいくイメージで、優しいだけじゃ終わらない。今までに見た白石監督の作品のイメージからも、いろいろジワジワくるのだろうなと思っていた。白石監督の世界観に触れて僕の気持ちも乗ってきたし、格之進の復讐という行動にハマっていた」と手応えを口にする。
◇ファンの喜びが原動力
格之進は囲碁をたしなむ役どころだが、撮影前に草なぎさんは特に「格之進の囲碁に対してのニュアンスが出るかなと思って碁石を返すこと」を練習したという。
「碁石を持ってただ置くのではなくて、一度指先で挟んで(碁石を)返してパチッと置いている。囲碁を知っている人が見たら『なかなか剛君やるな』と思ってもらえるはず。けっこう練習しました」と明かし、「格之進の棋士としての繊細さが出て良かった」と好結果に笑顔を浮かべる。
娘役の清原さんはじめ、中川大志さん、小泉今日子さんら共演者に関して、草なぎさんは、「清原さんや中川君、音尾(琢真)さんら初めての方がいたり、共演経験のある國村(隼)さんやキョンキョン(小泉さん)とは思い出話に花が咲いたり、自分に特別なご褒美をいただいた気持ちになった」と豪華なメンバーとの共演を喜ぶ。中でも、「小泉さんとは久しぶりで、一緒にストーブに当たっていたときに小泉さんをチラッと見たら、自分の若い頃を思い出して何だかドキドキしちゃった」と照れ笑い。