坂泰斗&上田麗奈が語る『俺だけレベルアップな件』の役作り 「努力のレベルアップを」
坂泰斗と上田麗奈が声優として目指す「レベルアップ」
――Season1のラストで旬は、転職クエストを成功させて「影の君主」になり、バトルのスタイルも変化しました。立場が変わったことや「影の君主」としての能力についてはどのように感じていますか? 坂:この作品の核心に触れることだとは思うんですけど、倒した相手というか、死者を使役するという「ネクロマンサー」の能力には、実はかなりこの作品にとっての根幹的な意味があると思っています。今後分かってくることですが、なぜ旬という人物がその力を得るに至ったかといことも含めて、すべてに考察したくなるくらいの意味があります。自分が倒した者を戦力にしていくという展開は、この作品において決して明るくはない、どちらかといえば暗い影の道と言えます。殺して自分の力にしていくわけですから。そこから考えると、たまたまあの能力が手に入ったわけではないということがあるかもしれないですね。 上田:旬のそうした能力もですし、やはり人を殺めてしまうというところもそうで、人ならざる者への道のりみたいな感じがして、旬があの能力を使っているのを見ると私はちょっと悲しいですね。 坂泰斗:Season1の中にもあったんですけど、殺意を向けられたときに排除しろとシステムから命令されるんです。第三者の意思というものに導かれて、他者を殺めて能力をつけていくのは、本人は感じていないのかもしれませんが、儚い使い道なのかもとは思います。 ――自分からそうなりたくないのかもしれない? 坂:進んで止めようとしているわけではないですね。強くなる過程で結果として誰かを倒すことに抵抗はない。自分の糧にしている感じです。ただ、自分より弱いものに進んで手をかけるのではなく、自分より強い人、自分よりレベルが高い人に命を懸ける、勝てるかどうか分からない賭けのようなものにぶつかっていくのが、旬の本質的なところにあると思います。 上田:どうしようもなかったじゃないですか。そうならざるを得ない状況になるべくしてなってしまいました。E級から始まって虐げられ利用されるみたいなことを経験して、ここでもまた殺されそうになりました。お母さんや妹のために強くなること、死んではいけないことの2つがあったから、そうならざるを得なかった旬が、強くなりたくないとは考えられないんじゃないかなと思います。 坂:必死に生きる、生き残るという選択をしていたらそうなってしまったというのが正しいかもしれませんね。 ――『俺だけレベルアップな件』に絡めて伺いますが、お二方はどこまでレベルアップしたいと考えていますか? 坂:お芝居的なことのすべてに上限は設けたくないです。ここまでと上限を決めてしまうと、そこに着陸するような力加減になってしまうと思うので。それこそ旬と同じように、自分の120%、130%といった力を出せるよう、常に臨んでいきたい。死ぬまでそう思っていきます。 ――今はどこまで達成されていますか? 坂:僕はまだE級だと思います。それこそこの作品でご一緒させていただいた先輩方だったり、麗奈さんだったりも含めてS級の方々とご一緒すると、すごく引き出されるものがあるんです。感じるものもありますし、そういった方々とご一緒できるということがすごく嬉しいと感じました。 上田:私なんてまだE級ですよ。 坂:いやいや、なんで? 上田:私はやはり、ほかの方よりも下手という自覚があるので、努力せざるを得ないと思っています。そうできればいいのにと毎日思っているけれど、できないので努力のレベルアップをしなければいけない感じです。 坂:その思考が旬と同じです。遥かに強いところにいるのにまだまだ弱いって思ってるから、みんな追いつけないんですよ。 上田:なるほど……どうしても、頑張らなきゃいけないから、努力の仕方を増やしたいなと思ってしまっていましたね。台本の読み方にしても今まで指1本しかなかったけれど3本ぐらいに増やしたいな、とか。幅広く量もたくさんやって届きたいと思ってます。 ――毎日が努力の積み重ねなんですね、声優のお仕事は。 坂:こういうお仕事なんです。 ――最後に、いよいよ始まる『俺だけレベルアップな件 Season 2 -Arise from the Shadow-』を観る人たちにメッセージをお願いします。 坂:Season1は、やはり旬だけにフォーカスがあたっていましたが、ここからはたくさんのキャラクターたちが登場してきます。戦闘も今までのように旬1人だけではなく「影の軍団」という新しい力が加わります。世界が一気に広がって、それに伴って内容も派手になっていくので、そこを楽しんでいただければと思っています。 上田:旬が強くて人間離れして手が届かない存在過ぎないところも見せてくれたりするんですよね。まだ笑ってくれるんだ、こんなにフランクにコミュニケーションしてくれるんだといった、安心するようなシーンがSeason2にはまだあります。そうした、まだ成長しきっていない安心感と、これからどうなっていくんだろうか、まだまだ続くんだろうかといったヒヤヒヤ感のどちらも抱えながら観てもらえたら、楽しいんじゃないでしょうか。 ――視聴者もそんな旬を見ながらレベルアップしていきたいですね。 坂:強くなれば心に余裕も生まれて、いろいろと新しい見方ができるようになりますから。余裕って大事ですね。 上田:それはSeason2の旬の変化を見ていて、すごく感じることだと思います。
タニグチリウイチ