テンセント出資の香港系証券、日本は最注力市場ー技術力で差別化図る
(ブルームバーグ): 中国インターネット企業最大手、テンセント・ホールディングス(騰訊)が出資する香港オンライン証券の日本法人「moomoo(ムームー)証券」(東京都渋谷区)の伊澤フランシスコ社長は、日本は最も力を入れていく市場だとした上で「とにかく今はユーザーを広げ、サービスを拡充させていく」と事業拡大に意欲を示した。
ブルームバーグとのインタビューで語った。同証券の親会社はオンライン証券を運営する香港の富途控股。「ムームー」は海外展開におけるブランド名称で米国やシンガポール、オーストラリアなどにも拠点を持つ。2022年に大阪のひびき証券を買収して日本に参入し、23年9月から米国株、24年3月から日本株取引を始めた。
国内では1月に新NISA(少額投資非課税制度)が始まり、日経平均株価が過去最高値を更新する中、オンライン証券大手のSBI証券や楽天証券を中心に口座開設数を伸ばしている。一方、LINE(現LINEヤフー)が野村ホールディングスと共同展開していた証券業務からの撤退を昨年発表するなど競争環境は厳しい。ムームー証は海外発のテクノロジーを武器に国内証券に挑む。
具体的には、大口投資家の売買動向をリアルタイムで提供するなど無料で提供するアプリの情報量や使いやすさに強みを持つ。伊澤社長は「情報の格差によって成果も変わる。投資の垣根を崩していかなくてはいけない」と説明。国内現物株の売買手数料をSBI証などと同様に無料としたほか、米国株の手数料も国内大手証券と比べて低く設定した。
口座開設数は現時点では非公開だが、約1年半でアプリのダウンロード数は100万件に達した。現在の日本拠点の人員約80人を、口座開設や顧客対応などを中心に、来年にも2倍に増やす必要があるという。今後、信用取引や投資信託など商品ラインアップを拡充していく方針だ。
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Nao Sano