三菱自動車が燃費試験で不正 再び不祥事に相川社長「忸怩たる思い」
三菱自動車は20日、自社製車両の燃費試験で不正行為が行われていたと発表した。国土交通省に提出した燃費試験データについて、実際よりも燃費を良く見せる数値を採用していた。また、国内法に定めのない試験方法を採用していたことも明らかになった。同日、記者会見した相川哲郎社長は、「意図的な不正」だとして陳謝。2000年代初めのリコール隠し問題で批判を受けた同社だが、再び不祥事でコンプライアンス意識の不徹底ぶりを露呈したことについて「忸怩たる思い」と語った。 【写真】三菱自動車が燃費試験不正で会見(全文1)不正は意図的に行われた
燃費データ不正は「意図的」
燃費試験データの不正が分かったのは、3月末までに自社で計15万7000台を生産した「eKワゴン」と「eKスペース」、日産自動車に46万8000台を供給した「デイズ」と「デイズルークス」の計4車種・合計62万5000台。 燃費試験は、4車種とも開発を担当した三菱自動車側が実施していたが、日産側が新製品開発にあたって、参考のために不正が行われていた車両の燃費を測定したところ、国交省への届出値とは差があったことから、三菱自動車へ確認を求めた。これを受けて、社内で調査した結果、実際よりも燃費に有利な走行抵抗値(車両が走行する際の転がり抵抗や空気抵抗)が採用されていたことが分かった。 走行抵抗値は、車両の走行を妨げようとする力であり、この値が小さくなればなるほど、それだけ少ない燃料で長い距離を走行できる。該当4車種については現在、再試験を行っているが、実際の値と不正値とは、おおむね5~10%程度乖離している見込みだという。 三菱自動車によると、この不正が行われたのは名古屋製作所(愛知県岡崎市)にある開発本部。関係者に対するヒアリングを行っているが、相川社長は「この操作は意図的なものであると考えている。数字を良く、いい燃費に見せるという意図があったのは確か」と述べ、過失ではなく「意図的な不正」だとの見方を示した。 この不正について相川社長が報告を受けたのが13日で、日産には18日に報告したという。該当4車種は、20日午後に生産・販売を停止。日産側も同様の措置を取った。 該当車種のユーザーへの対応策については検討中。また、相川社長は、「販売店の皆さんへの対応も検討をはじめたところ。急いで解決すべきだと考えており、早急に結論を出したい」とした。