<いざ!頂点へ・24センバツ報徳学園>軌跡/上 「優勝」の2文字見つめ “準”の悔しさバネに /兵庫
正月三が日が明けて初めての練習があった1月4日。チームは学校から阪神甲子園球場(西宮市)までランニングし、敷地内の「野球塔」に飾られた歴代優勝校の名前を刻んだ銘板の前に立った。大角健二監督(43)が言った。「見てみろ。準優勝校の名前なんて、どこにもないぞ」 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 2023年のセンバツで準優勝を飾った報徳学園。強豪相手に逆転劇やサヨナラ勝ちを重ねて決勝戦までたどりついたが、あと一歩、届かなかった。間木(まき)歩主将(2年)は「去年みたいな思いはしたくない。優勝だけを見て、一戦必勝で行く」と意気込む。 前回センバツで、報徳学園にとっての山場は準決勝だった。相手は22年秋の近畿大会で3安打完封された、世代ナンバーワン左腕の前田悠伍投手を擁する大阪桐蔭。5点を先行されながら七回に同点に追いつき、八回の適時二塁打で逆転した。1年生だった間木投手と今朝丸(けさまる)裕喜投手(同)がエースからの継投で四回以降を無失点に抑え、チームは雪辱に歓喜した。 ところが、決勝戦は山梨学院に3―7で逆転負けを喫し、つかみかけた栄冠を逃した。近畿大会以降、前田投手の対策を練るなど大阪桐蔭を強く意識して冬の厳しい練習を乗り越えた選手たち。大角監督は「ずっと『打倒大阪桐蔭』という言葉が飛び交っていたので、勝って達成感みたいなものを感じてしまった」と振り返る。 準優勝後、チームは春の県大会で優勝したものの、近畿大会は1回戦で市和歌山に敗退。夏の兵庫大会はエースの不調もあり、5回戦で神戸国際大付に2―3で破れ、春夏連続の甲子園出場はかなわなかった。 しかし、大きな財産が残った。間木、今朝丸の2投手や西村大和選手(同)ら、大舞台でメンバー入りした7人が新チームの中核を担うことになった。 ◇ 第96回選抜高校野球大会に2年連続23回目の出場を決めた春夏優勝3回の強豪、報徳学園。優勝を逃した悔しさを胸に船出した新チームの軌跡を紹介する。【稲田佳代】 〔神戸版〕