桑田佳祐が有働由美子に語る 45年間大切にしてきたことは"諦めの悪さ"
今年45周年という節目を迎えたサザンオールスターズ。常に時代を彩ってきたサザンの楽曲はどう作られてきたのか、そして今の音楽シーンをどう見ているのか? 『news zero』のメインキャスター・有働由美子さんが桑田佳祐さんにインタビューしました。 有働:こんにちは。 桑田:どうも。 有働:ご無沙汰いたしております。 桑田:すみません こんな所にお忙しいときにおいでいただいてありがとうございます。 有働:ここがあれですよね。サザンオールスターズのみなさんの楽曲が生み出された… 桑田:ビクター(スタジオ)。 有働:やっぱり特別なところなんですか? 桑田:ずっとここで育ったといいますかね。45年くらい。 インタビューの場所は、ビクタースタジオ401スタジオ。サザンオールスターズの名曲はここから生まれてきました。そんな特別な場所でギター演奏を即興で披露する場面も。 桑田:「news zeroに出れて素敵だ♪」 有働:ちゃんと録音している? 大丈夫(笑)うれしい。ギター、これは特別なものですか? 桑田:いつも歌の練習とかに使っていまして、弾ける方じゃないんで格好つけて置いています(苦笑)楽器とか音楽性はないんです、僕はあまり。 有働:国民が納得しない気がするんですけれども… 桑田:我々のよう生業(なりわい)の人間というのは寂しいから弾いているとかコンプレックスがあるからビートルズ聴いちゃおうかなとか、私もそれなんです 。 有働:今の全部ですか。コンプレックスとか寂しいからとか? 桑田:全部そうです。ポップスが好きとか誰それのファンだとか、それがすごく大事だったのかなと思います。
■「奇跡のよう」45周年を迎えた今の気持ち
これまで国民的なバンドとして数えきれないほどのヒット曲を生み出してきたサザンオールスターズ。いつの時代もその音楽は人々に愛されてきました。 有働:サザンオールスターズが45周年迎えて楽しいのか、うれしいのか、つらいのかどんな感情ですか? 桑田:本当にここまで来られたことが我々にとっては奇跡のようで幸せですよね。 有働:どういう部分が幸せですか? 桑田:「老いては子に従え」的な感じが今、スタッフと我々の中でできていて。 有働:若いスタッフがたくさんいらっしゃる? 桑田:自然にそういうふうになってきて。ありがたいことでね。 有働:若い人から「こうしたら?」という意見は、素直に受けいれられるものですか? 「いやいや、これはこうやってきたんだ!」という思いは… 桑田:「40年やっているんだぞ」みたいに言ってしまうこともありましたけど、情報量がこれだけ早い世の中だと1週間前の情報が随分前のものみたいになってしまうことがあるでしょ? 世の中で起きていることとか、音楽業界・エンターテインメント業界だけでも私の知りえないことも随分あって『YOASOBI』とか『緑黄色社会』とかそういう人たちの音楽は逆に聴かせてもらったりします。風を読むのもある程度、若い人たちの意見とか顔色を見ながら(世の中と)チューニングしているような気がします。 有働:自分で必要だからチューニングしながら、若い人の意見を取り入れようとしていらっしゃるんですか? 桑田:(影響を受けた)60~70年代を通ってきた音楽人ですから、その音楽に向けての憧れみたいなものは自分の曲として出すんですけど、音楽的なことは急に僕は変えられないじゃないですか。そういう部分に関してはいじる必要もないし、自分の中にあるものはもう素直に出す。それをどういうふうに世の中伝えるか、どういうふうに受け取られているのか、スタッフと相談しています。 今年デビュー45周年を記念し 4年ぶりとなる新曲を3か月連続でリリースします。8月2日に配信された2作目の新曲『歌えニッポンの空』は、日本そして故郷への愛と感謝を込めて作られた曲ですが、タイトルに入っている「空」は、こんなところから生まれていました。 桑田: 12~13年前に病気をしたんですけど、よく行くおそば屋さんでそこのお母さまに心配していただいて「空はつながっているから」っていう言葉をかけてもらって。まぁ そうだよな。「空はつながっているよな」と思って。 有働:「空はつながっている」っていうのはどんなふうに解釈をしたのでしょうか? 桑田:日本国内だけじゃなくて、遠くの国の問題も他人事じゃない。「空はつながっている」という意味は「そういう(それぞれの)立場になって考えることができる」ということかもしれない。この年になってやっとそんなことを考えているんですけどね。 桑田:桑田さんってどういうふうに曲作りされるんですか? コンプライアンスとかいろいろなことでだいぶ変わってきましたか 制限とか。 桑田:「関係ねーよ」ということはないんですよ。コンプライアンスという壁があったとしても、ヒョイとね、下から仰ぎ見てふっと通り抜けるような、ものの言い方でそれを匂わせるというか。匂わせた言葉はどこに届けるかというと大衆でね、お客さんなんですよ。僕らは幸せなことに曲を聴いてもらえる立場にいる。お芝居や映画や歌舞伎もそうでしょうけどそういったやり方がないと、大衆の皆さんが面白くないんじゃないかと思うんです。