「すごすぎる!」地域を活性化させる“移住の達人たち”の活動に驚き 移住アワード選考委員の一人は「自分が恥ずかしくなった」
「これではいけない」と思わされた選考会
さて、翻って私のことですよ……。地元メディアの仕事はしているものの、基本的には東京のメディアの仕事も多くこなしているし、自宅で書き仕事をしている。13時頃スーパーへ行き、食材とビールを買って14時から飲み始める。夜は妻と夕飯を作りながら飲み、食べたら新聞や雑誌を読んで気付いたら寝落ちしている。 そうでない日は朝っぱらから釣りに行き、魚をさばいたら釣れ過ぎた分は知り合いに渡し、野菜をお礼にもらったりする。夜、飲み会があったら3次会までヘロヘロに酔っ払い、気付いたら家で寝ている。 まったくもってして、唐津市で「地域創生」や「雇用創出」をしていないのです。とはいっても移住者だからといって、地域の活性化を求められているわけではないじゃん、という開き直りをしつつも、「いや、これではいけない」と思わされた選考会となりました。 こうした「移住の達人」的な人を見て感じたのは、地元役所の移住支援部署の人の協力は仰ぎつつも、地元で知り合いをバンバン作っていく姿勢の重要さです。そして何よりもコミュ力の重要性を感じました。全員が「感じがいい」人物だったのです。移住者って元からいた人からすれば、「ヨソ者が余計なことをやりよって!」と煙たがられる面はあるものの、そうはならない魅力を持っている人たちでした。 まぁ、多くの移住者は私のように、そこまで意識が高くないでしょう。今回の選考会に参加した人々は「スーパー移住者」のような存在で、特例扱いするのが自分の劣等感を抑える秘訣なのかな、とまで思わされました。
最後に、移住を成功させる秘訣を、彼ら/彼女たちから教えてもらったので、箇条書きにします。 【1】現在の居住地に対する違和感を持ったら憧れの土地に躊躇なく行く 【2】移住先が持っている資産・文化・伝統は尊重し、破壊をしない 【3】移住先が抱える課題を解決する能力・人脈を持っていること 【4】困ったら地元の人に助けてもらえるコミュ力と「弱みを認める力」を持つこと 【5】豊かな自然を楽しめること あと、年齢は関係ありません。なにせグランプリを獲得した長野県原村の保育園長・橘田美千代さんは70歳で当地に移住し、現在は75歳です。 【プロフィール】 中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は倉田真由美氏との共著『非国民と呼ばれても コロナ騒動の正体』(大洋図書)。