Jackery新製品に見えた、ポータブル電源の新戦略&新トレンド
4つめのトレンドが「フェーズフリー」です。フェーズフリーは、身の回りにあるモノやサービスを平常時だけでなく非常時にも役立てよう、という考え。ポータブル電源を防災用として購入したはいいものの、買ったままで充電していなくて容量がなかった、初めて開けたので使い方が分からない、充電用のケーブルがなかった、ということにならないよう、フェーズフリーでふだんから活用することを勧めています。ふだんから使うことでフル充電の状態がキープでき、手持ちの機器に対応したケーブルを準備しておけるメリットがあります。
■ポータブル電源を買わない理由を徹底的につぶした そんなトレンドの変化に対応して投入したJackery ポータブル電源 600 Plus、これまでのポータブル電源の主力モデルよりも出力や容量は小さいものの、購入者の満足度を高める要素を強化しています。 その1つが「長く使える」「長期保管に向く」ということ。内蔵バッテリーは自然放電が少なく安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池で、約4,000回の充放電が可能なので。毎日充放電しても10年間は使えます。さらに、スマホアプリでバッテリー節約モードにすると、バッテリーをフル充電ではなく85%の容量に抑え、バッテリーの寿命が約1.5倍に延ばせる工夫も盛り込んでいます。
Jackeryの調査では、ポータブル電源の認知度は76%にまで高まったものの、保有率は1割にも満たない8.2%にとどまるそう。「ポータブル電源を知っているけれど買わない理由として、価格の高さ、置き場所がない、重くて持てないの3つの要素が上位を占めている。今回の新製品は、それらの欠点を解消したバランスのよいモデルに仕上げた。新しい防災の相棒として、多くの家庭に導入してもらいたい」(Jackery Japanの平松孝太氏)
ソーラーパネルとのセットモデルをおトクな価格で提供するのは、2本の交換レンズが付属するダブルズームキットがファミリー層に大ヒットした「EOS Kiss DIGITAL」などのデジタル一眼レフカメラに通じるマーケティング戦略だと感じます。年明けから災害続きの2024年、“停電になっても困らない、ちょうどいいポータブル電源”が多くの家庭に響くか注目です。
磯修