愛知県民は火山に対する危険意識が低い…?御嶽山登山者のヘルメット持参率は約5割、専門家が指摘「火山に関する“情報”にふれる機会が少ない」
御嶽山噴火から10年が経ちました。2014年9月27日に発生した、“戦後最悪”の噴火災害。58人が亡くなり、現在も5人が行方不明のままです。 噴火災害を越え、再び多くの登山者で賑わいはじめた御嶽山。災害前の活気が戻りつつある一方、御嶽山登山者に関する“心配”な調査データが、『名古屋大学』の御嶽山火山研究施設より発表されていました。
2023年、『名古屋大学』の同施設が御嶽山登山者を対象にアンケートを実施。「どこから来たのか?」という居住地に対する質問について、愛知県が33.3%、東京都が12.1%、神奈川県が9.1%、長野県が9.1%という結果になりました。 御嶽山を登るとき、長野県ではヘルメットを持参することを推奨。そこで、同登山者にヘルメットの持参率について続けて調査したところ、地元・長野県は66.7%、東京都は66.7%、神奈川県は60%、愛知県は51.5%の登山者が、御嶽山登山にヘルメットを持参していることが分かりました。
2022年の調査では、ヘルメット持参率が3割程度だったという愛知県。2023年には約5割に増加していますが、10年前の御嶽山噴火で、最も多く犠牲となったのは、“愛知県からきた登山者”でした。
なぜ、愛知県から来た登山者には、“身を守るヘルメット”を持参している人が少ないのでしょうか。同調査を行った専門家、『名古屋大学大学院』の金幸隆 特任准教授は、愛知県民の“火山”に対する危機意識に注目します。 「愛知県から御嶽山はアクセスしやすい場所にあり、“気軽に行ける山”という印象を持っている」と、金特任准教授は愛知県民の御嶽山に対する印象を分析。続けて、「一方で、愛知県には火山がなく、火山に関する情報にふれる機会が少ない。火山に対する“知識”が少ないため、“危機意識”が低い」と指摘します。
御嶽山噴火から10年が経った今こそ、私たちは“山を知ること”を忘れてはいけません。この写真に映っているのは、噴火当時、御嶽山の山頂にあった建物。壁には噴石によって空いた、無数の穴が残っています。こうした状況を知ることが、“噴火に備える”意識と行動に繋がるのです。
こちらは御嶽山ふもと、長野県木曽町の『さとテラス三岳』他、『名古屋大学博物館』でも展示中。10月19日まで名古屋でも見ることができます。 美しい山景色が楽しめる登山。しかし、自然を相手にしているからこそ、“リスクがあること”を知った上で登山に臨むことが大切です。