『ブギウギ』が描いた“世代交代” 新米マネージャー、家政婦・大野の格言、山下の引退…それぞれの役割を訊いた
今週放送された『ブギウギ』(NHK朝ドラ)第22週「あ~しんど♪」の舞台は、昭和25(1950)年の春。スズ子(趣里)のもとに家政婦・大野(木野花)がやってきてからおよそ半年が経った。 【写真】圧巻! 新曲『買物ブギ』を披露するスズ子 愛娘の愛子(小野美音)を安心して預けられる大野という強力なサポーターを得て、仕事に集中できるようになったスズ子だったが、今週は悲しい「別れ」が彼女に訪れる。 愛助(水上恒司)の母、トミ(小雪)が結核で亡くなり、これを機に山下(近藤芳正)はスズ子のマネージャーの職を引退したいと申し出る。また、絶対的喜劇王だと思われていたタナケン(生瀬勝久)が古傷を悪くして舞台を降板。「僕の代わりなんていくらでもいる」「これが業界の常だ」と、ショービジネスの世界の厳しさをスズ子に伝える。 また、多忙を極める羽鳥(草彅剛)が、スズ子が新曲『買物ブギ』を初披露するステージに指揮者として出演できないと言い、スズ子は日帝劇場の舞台で初めて「一人立ち」することになる。 さらに「新しい顔」も登場した。山下が自らの後任にと、甥のタケシ(三浦獠太)を連れてきたのだ。お調子者で口だけ達者で、はじめのうちはマネージャーの仕事に身が入らないタケシだったが、スズ子のステージを初めて生で見て覚醒する姿がとても印象的だった。 今週、色濃く描かれた「世代交代」というテーマを象徴する、タケシ、大野、山下について、制作統括の福岡利武さんに聞いた(取材・文/佐野華英)。 ■ 若い人の相談によく乗っていたという笠置シヅ子の逸話 第22週で新曲『買物ブギ』の発表と合わせて「世代交代」というテーマを描こうと思った理由について、「スズ子のモデルである笠置シヅ子さんが、若い人や新人さんの相談に親身になって乗っていたという逸話がとても素敵だと思いました。三十代半ばになって、何らかのかたちで若い人たちに働きかけるスズ子が見せられるのではないか、ということで、今週のエピソードができました」と明かした福岡さん。 また、「『ブギウギ』がずっと大事にしている『家族になる』というテーマを、新米マネージャーとしてタケシが入ってくることで、新たに見せることができるのではないかと考えました」と語る。 ■ 六郎役のオーディションに来ていた三浦獠太 新米マネージャー・タケシ役に三浦獠太を起用した理由について、福岡さんはこう振りかえる。「三浦さんはもともと、六郎役のオーディションに来ていただいたのですが、『愛され要素』に満ちた好青年という印象でした。六郎役はもう少し年齢が低い設定でしたので、黒崎煌代さんに決まりましたが、三浦さんの真っ直ぐで一生懸命で、親しみやすいキャラクターが強く印象に残っていまして。終盤の台本でタケシという役が出てきたときに、自然と名前が浮かびました。三浦さんの素朴で、どこか『昭和っぽい』感じもタケシにぴったりだと思います」。 また、『買物ブギ』を初披露した圧巻のステージで、スズ子が自らの背中を見せて「歌の力」を教える姿に、タケシが深く感じ入って覚醒するシーンについて、どのような演技指導がなされたのか。 「演出の小島(※編註 今週の演出を担当した小島東洋さん)から三浦さんに、とにかく『見て、しっかり感じること』という説明があり、それを本当に実践してくれた、ということでしょうね。三浦さんがタケシとしてスズ子のステージを袖から見て、その迫力と凄みを素直に感じ取ってくれたのだと思います。『スズ子すごい! 趣里さんすごい!』と熱を込めて何度も言っていましたから」と、三浦の「心の底から湧き出るリアクション」を称えた。