NHK大河「光る君へ」一条天皇涙の崩御…次期東宮めぐり彰子は憤怒、三条朝は波乱の予感 第41回みどころ
女優の吉高由里子が主演するNHK大河ドラマ「光る君へ」の第41回「揺らぎ」が27日に放送される。 【写真】クランクアップ時の写真が衝撃的 大石静氏が脚本を手がけるオリジナル作品。大河ドラマではきわめて珍しい平安時代の貴族社会を舞台に、1000年の時を超えるベストセラー「源氏物語」の作者・紫式部/まひろの生涯に迫る。20日に放送された第40回では、25年間在位した一条天皇(塩野瑛久)が病に倒れ、三条天皇(木村達成)に譲位したのち崩御。道長(柄本佑)は第一皇子・敦康親王(片岡千之助)ではなく、彰子(見上愛)の生んだ第二皇子・敦成親王(濱田碧生)を次の東宮に立てた。 終盤の双寿丸(伊藤健太郎)と賢子(南沙良)の出会いのシーンを除けば、ほとんど宮中での皇位問題にストーリーが割かれた回。主役である藤式部/まひろ(吉高)のせりふも極端に少なく、制作陣の「代替わりを描ききる」という覚悟を感じた。占いで一条帝の崩御の相が出た道長は、四納言を呼び寄せ、次の東宮に敦成親王を推すことを告げる。忠義を誓う俊賢(本田大輔)、真意を探る公任(町田啓太)、抜け目のない斉信(金田哲)、複雑な思いの行成(渡辺大知)。4人4様の感情が交錯する。 第40回はとりわけ、行成なくしては成立しない回だった。本心を心の奥底にそっとしまい、敦康親王の立太子を諦めるよう帝に説得する。繊細な感情の揺れが手に取るように分かる。出世を左右する相手というよりも、人として特別な感情を抱いて道長と一条帝に仕えてきた行成だけに、瞳の奥の表情を推し量ると胸が苦しくなった。 父・道長の非情な采配に、彰子も憤りを隠さない。「私は敦成の母でもありますが、敦康様の母でもあるのです」。「2人の皇子の母である私になんの相談もなく、次なる東宮を敦成にお決めになるなど、とんでもなきこと!」。入内の際に、何を言ってもぼんやりと「仰せのままに」とだけ答えていた彰子はもういない。 「藤式部…なぜ女は政に関われぬのだ」。のちの彰子がたどるストーリーから考えると、ここがひとつの転換点となっていくはずだ。それにしても、公式サイトの相関図で彰子から道長に「憤怒」と矢印が伸びているのは少し笑ってしまった。「恨む」でもなく「対立」でもなく、「憤怒」。日本語の豊かさに敬服する。 伏してもなお麗しかった一条帝の辞世の歌。行成が書き残した「権記」、道長の「御堂関白記」で少しバージョンが違うのだが、「光る君へ」で採用されているのは「権記」のほうだった。「露の身の 風の宿りに 君を置きて 塵を出でぬる ことぞ悲しき」。この「君を置きて」の「君」は皇后・定子(高畑充希)説と彰子説、諸説あるのだが視聴者に解釈のバトンが渡されたような演出であった。筆者も若干思うところはあるのだが、第41回の和歌の描写にもかかわってくるので、今回はこの程度にとどめておくことにする。 若さゆえに迷走したこともあったが、基本的には民を思う名君であった一条天皇。「光る君へ」のベスト翻弄されニストとして、道長/伊周(三浦翔平)、定子/彰子との板挟みに苦しみ、最期まで翻弄されながら生涯を終えた。浄土では安らかにお休みください。 衆院選開票速報の影響で50分前倒しの午後7時10分からの放送となる第41回。即位した三条天皇と道長の間では、早くも水面下での覇権争いが始まり、道長が2人の妻との間でもうけた息子たちの序列争いも表面化しはじめた。一方、まひろは天皇を失った悲しみに暮れる彰子を慰めるための和歌の会を催すことに。すると、招かれていない清少納言/ききょう(ファーストサマーウイカ)が姿を見せる。さらにまひろの実家では、娘の賢子と若武者・双寿丸が仲を深めはじめ…という展開が描かれる。 代替わりしたので当然なのだが、宮中の雰囲気も一変。なにかが起こりそうな不穏な香りがそこかしこに漂っている。清少納言もだいぶキレキレの仕上がりで登場。そして、双寿丸が提示する新たな価値観は、時代が変わろうとする前触れかもしれない。25日にクランクアップのニュースも報じられたし、物語は着々と佳境に近づいている。しつこいようだが、放送は午後7時10分です。お気をつけて。(NHK担当・宮路美穂)
報知新聞社