未成年 “地雷系”女子「1000円もらった!」で寒さしのぐリアル… 福岡・天神「警固キッズ」居場所ない若者たちの実態とは
やりらふぃー系、地雷系…警固キッズの“派閥”
「今、警固公園に集まっている若者たちには“派閥”があるように感じています」 そう語るのは、福岡で10年以上若者の立ち直り支援を行うNPO法人『SFD21JAPAN』の理事長・小野本道治さんだ。 「僕が見ている範囲だと、ヤンキー・やりらふぃー系・普通・地雷系・ひきこもりと、5種類ほどの派閥に分かれて集まっています。EDMを流しながらTikTokを撮っているようなやりらふぃー系は、『俺たちは警固キッズや地雷系まで堕ちたくない』と話していますが、地元の人間が言う“警固キッズ”にはそんな彼らも含まれているようです」(小野本さん) “地雷系”の若者は、貧困や片親といった環境で生きてきた者が多いといい、地雷系ファッションに身を包むことで、「自分の寂しさや傷つきをおしゃれで誤魔化しているのではないか」と小野本さんは分析する。 「キッズたちも毎日公園にいるわけではなく、意外と学校に行っていたり、バイトをしている子もいるんですよね。警固公園に集まる若者が増えたのは、コロナ禍で大人がきちんとサポートできなかった代償のような気がします。児童相談所は窓口を閉め、県警のサポートセンターも電話受付のみだった。逃げ場を失った子たちがオンラインにたどり着き、SNS経由で人と会うようになった。そして警固界隈と呼ばれるコミュニティができていったのでしょう」(同前)
助成金と「支援ブーム」の実態
現在では、若者をサポートする団体も増えたというが、その一方で、行政からの“補助金目当て”で支援に介入する団体もいるとして小野本さんはこう語る。 「今は『支援ブーム』と言ってもいいかもしれません。話題になっているからマスコミも取り上げるし、補助金や助成金の申請で警固公園と書けば通りやすい。現に、『子供食堂をやっていたけど、今は居場所作りや学習支援のほうがお金を取れるから』と、活動内容を変えた団体もいるんです」 福岡市では現在、市がNPO法人に運営を委託し、中高生を中心とした「若者の居場所」の開設を広げている。不登校や非行対策の一環として、気軽に立ち寄れるフリースペースを各地域に設けようというものだ。開設と運営を行う団体には補助金が4年間交付され、さらに体験活動や学習支援などの取り組みも併せて行う場合、最大で8年交付が受けられる。 しかし年限を迎え市から補助金を受け取れなくなったとき、いくつの団体が支援を継続するのだろうか。“大人に支援の手を差し伸べてもらえなかった元当事者”として、今後も警固界隈や彼らを取り巻く支援者たちの動向を追っていくつもりだ。
倉本 菜生