エアコンの購入・設置費 生活保護世帯12世帯に最大10万円給付 熱中症予防へ
奈良県生駒市が今年度、エアコンが未設置か故障して動かない市内の生活保護受給世帯を対象に実施したエアコン購入・設置費(上限10万円)の給付を受けたのは12世帯だったことが市のまとめで分かった。対象は国の通知では給付できない世帯を含み、記録的な猛暑が続く中、生活保護受給世帯での熱中症を防ぐのが目的。全国的にも珍しく、県内では初の試み。市の担当者は来年度も継続したいとしている。 厚生労働省は市区町村への通知でエアコンがない生活保護世帯の購入費について上限6万7千円とし、設置費が別途必要な場合は最小限度の額で認めているが、高齢者や障害者、子供ら「熱中症予防が特に必要とされる者がいる場合」に限るとしている。 これまで生駒市では、厚労省の通知の対象外の生活保護受給世帯がエアコンを購入する場合、保護費をやりくりするか市社会福祉協議会の貸付制度を利用するしかなかった。今年6月の市議会定例会で生活保護世帯へのエアコン設置について議員から質問が出たことを受け、市は独自の給付に乗り出すことを決定。すでに編成していた予算から事業費を捻出し、1世帯当たりいずれも最大で購入費6万7千円、設置費3万3千円を給付することとした。 市で生活保護を受給している世帯は10月末時点で約490世帯。市のケースワーカーが7月から連絡があった世帯を訪れてエアコンの有無、故障しているかどうかを確認し、同月から順次設置。どんなエアコンを買うかは世帯に任せたが、購入・設置費は市が業者に支払った。 市生活支援課の担当者は「エアコンが設置された世帯からは『本当にありがとうございます』とお礼を言われ、喜んでもらえた。来年度も続けたい」と話している。 ◇ 生活保護受給世帯へのエアコン購入・設置の費用については、東京都練馬区も昨年度から、世帯員の全員が住民税非課税などの世帯を含めて助成を開始。上限額は購入費と設置費で昨年度計10万円、今年度計10万5千円で、昨年度は494世帯を助成した。 東京都墨田区も今年度初めて1世帯あたり最大10万円の助成を行い、生活保護世帯を含む709世帯を補助した。生駒市は上限を超えれば給付の対象外だが、練馬、墨田の両区は上限を超えれば自己負担になる。
一方、東京都江戸川区は、生活保護受給世帯以外の困窮世帯を対象に令和4年度から補助を実施。収入や預貯金が一定以下の世帯に購入費と設置費で最大計5万4千円を助成しており、区の担当者は「助成額を上げていきたい」としている。(張英壽)