エディー・ジャパン「超速ラグビー」の実現へ、最も足りないのは「エクスキューション=遂行」
【ベテラン記者コラム】「新生エディー・ジャパン」のラグビー日本代表が、テストマッチシリーズに突入した。6月22日にイングランド代表とテストマッチ、同29日にはジャパンXVとしてマオリ・オールブラックスと非テストマッチと、ここまで2試合を戦った。 結果はイングランドに17-52、マオリ・オールブラックスに10-36で敗れた。イングランド戦では前半2分に先制PG、マオリ戦では前半6分にHO原田衛(BL東京)が先制トライと、試合の入りでは「超速」のいい形を体現したが、尻すぼみになった。マオリ戦後にエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が、こんな数字を挙げた。 「相手22メートル以内に進入したのは日本が11回、マオリは7回」 ジャパンXVが11回中、スコアに成功したのは原田のトライの後は、後半40分のWTB根塚洸雅(東京ベイ)のトライまで、74分もかかった。一方のマオリは6トライ。〝成功率〟なら日本は18%、マオリは86%と大きな差がついた。 後半7分に交代出場したSH斎藤直人(東京SG)は、「ちょっとブレークした後のミスが多すぎた」と話した。イングランド戦でもそうだったが、相手と激突したところや、激突して前進(斎藤が言う「ちょっとブレーク」)してフォローする選手につなごうとしたところでのボールをコントロールできないミスが多発した。FLで後半登場した本橋拓馬(帝京大4年)は気の毒なことに、ジョーンズHCから「コリジョン(激突)のところで2回落とした」と名指しされていたが、こういうミスについて指揮官は、「基礎のスキルが足りない」と両断した。 斎藤は「そこ(ちょっとブレークした後)で取り切らないとテストマッチでは勝てない」と言い切った。原田は「エクスキューション(遂行)に尽きる」と述べた。2人のコメントは、ジョーンズHCが総括した「チャンスはつくれていたが、フィニッシュにまで至らなかった」ことの原因を語っている。 いま集められている日本代表は、いうならば入学したての〝一年坊主〟といえるだろう。結果には目をつぶり、こつこつと鍛え上げていくしかない。マオリ戦のような国際試合に始まり、テストマッチ、W杯とプレッシャーの度合いが格段に上がっていく中で世界のトップの仲間入りを果たすため、そして「超速ラグビー」を実現するためには、最も足りていないのが「エクスキューション=遂行」の部分。選手の自覚と、コーチ陣のあくなき指導が必要だ。(田中浩)