背中に込める熱い思い 「バックナンバー」珠玉のエピソード【パ・リーグ編】
背中に“魂”を宿しながらグラウンドに立つ選手たち。多くの選手が背番号に熱い思いを込める。数字の裏に隠されたストーリー。背番号に関する数々のエピソードを集めてみた。 【選手データ】甲斐野央 プロフィール・通算成績
西武・甲斐野央「#34」三振を積み重ねるリリーバー
「三振という意味もあるのかな」と笑顔を見せた。ソフトバンクにFA移籍した山川穂高の人的補償で今年1月に西武加入が決まった右腕の新背番号は『34』だ。渡辺久信GMは「真っすぐとフォークで打ち取ることができるライオンズにはいない魅力的なタイプの投手」と高評価。昨年は42回2/3で奪三振39。奪三振率は8.23だったが、さらに「K」を積み重ねる能力はある。もっとも本人はゴロを打たせるのを目的にキャンプでツーシームの習得も目指すが、勝ちパターンのリリーバーとしての期待は高い。明るい性格もチームに好影響を与える。V奪回への貴重なピースだ。
ロッテ・中村奨吾「#8」敵の監督でも師匠は師匠
ロッテの『8』と言えば、山内一弘、有藤道世といった中心選手の番号。中村奨吾が入団した2015年は、大先輩の今江敏晃の背中に『8』が大きく輝いていた。そのオフに今江は楽天にFA移籍。1年の空白期を経て、中村が『8』を背負うことが決まると、今江はチームリーダーの後継を託された中村に「おめでとう。あとは頼んだぞ」と電話を掛けたという。「(今江は)野球選手としてあこがれの存在」と言う中村は今江が楽天の監督に就任してもオフには一緒に千葉県こども病院を慰問するなど、グラウンドを離れれば師弟関係は継続している。
日本ハム・淺間大基「#8」1年越しの思いを胸に
2022年のオフ、横浜高の先輩でもある近藤健介がソフトバンクへFA移籍すると、背番号『8』を継承した。「尊敬する近藤先輩の背番号を受け継ぐことになり、素直にうれしい。しっかりと期待に応えられるように」と臨んだ昨季、どん底に突き落とされた。2月下旬のオープン戦で右中間フェンスに激突して左足を負傷し、手術。シーズン半ばで復帰はしたものの完治に至らず、ほぼシーズンを棒に振った。それだけに今年に懸ける思いは強い。「1年間、センターで出る。そこしか見ていない」。その言葉を現実のものにして、先輩が背負った『8』をさらに輝かせる。