猛暑で田んぼが枯れて茶色に… “塩分7倍”の田んぼ 3カ月経った“土壌”のいま…
記録的な暑さとなった今年の夏。新潟市北区では塩害で田んぼが枯れる被害があった。 通常の約7倍の塩分濃度となった土壌はどうなったのか。田んぼの今を取材した。 【▶動画を見る】塩害で枯れた田んぼ… 3カ月経ち土壌に変化は?
塩害で枯れた田んぼ コメも“しょっぱく”…
枯れた稲が残された新潟市北区の田んぼ。 約3カ月前と比べると、きれいに刈り取られたところもあるが、まだ稲がそのまま残り、赤茶色から黒く変色している田んぼもみられる。
今年8月、この場所に襲いかかったのが塩害だ。 コメ農家の五十嵐作雄さんは当時、「“水が何か変だな”なんて言ってなめたら、ものすごくしょっぱかった」と話していた。
新潟県内では今年、梅雨明けから1カ月以上まとまった雨が降らず、新潟市北区では阿賀野川に海水が逆流。農業用水に塩分が混ざり、約11ヘクタールで稲が枯れた。 土壌からは通常の約7倍の塩分を検出。採取したコメも、しょっぱかった。
新潟大学農学部の三ツ井敏明教授は「そのまま塩分が残っていたら、稲作ができない。そういう意味でも、情報を農家さんにお渡ししようと思っている。恐らく、塩分はなくなるとは思うけど」とその影響を心配していた。
塩害から3カ月 土壌の塩分濃度は正常に
発生から約3カ月が経ち、心配していた土壌はどうなったのか。三ツ井教授は11月9日、再び土壌を採取し、塩分濃度を調べた。 すると…「塩分は、もうほとんど通常の、正常の塩分濃度になっている」と一部の土壌は、通常と同じくらいの塩分濃度に戻ったことが分かり、三ツ井教授も安堵した表情を見せた。
一方、黒く変色し、今も枯れた草が多い所はまだ塩分が残っている。 「これから恐らくまだまだ、雨や雪が降る。それによって、徐々に塩分が取り除かれていくと思う」
こうした中、現場の様子にも変化が出ていた。よく見ると、小さな芽のようなものが生えていたのだ。 三ツ井教授は「農家によると、稲刈りをして、種子が落ちて、それが発芽して雑草も含まれていると思うが、こういうふうにちゃんと成長している」と話した。
また、三ツ井教授は今回得られたデータが今後、塩害に強いコメの研究に重要な役割を果たすと話す。 「温暖化のための対策を立てるためにも、重要な、貴重な知見が得られるのではないかというふうには思っている。そういう意味では、いいほうに捉えて、やっていきたい」