京都・南座「坂東玉三郎特別公演」開幕 琴、三味線、胡弓を華麗に弾き分ける
歌舞伎俳優で人間国宝の坂東玉三郎(74)の京都・南座「坂東玉三郎特別公演」が12日、開幕した。 劇中で琴、三味線、胡弓の三曲を弾き分けるとともに、繊細な心理描写も求められることから女方屈指の大役として知られる「壇浦兜軍記 阿古屋」を、玉三郎が南座で上演するのは2019年以来5年ぶり。 上演前の口上で玉三郎は21歳で初めて出演した南座での思い出を振り返り、「8月の南座では数々の大役を経験させていただきました。大文字焼きもございまして、仁左衛門兄さんとお客さんがいらっしゃるか心配しておりましたが、大文字の夜だけは休演でございました」と笑わせた。 上演前には、「初めてごらんいただく方にも、この琴責の段をよりお楽しみいただき、深くご理解いただけますように」と片岡千次郎が、京都を舞台にした「阿古屋」について解説。 幕あいを挟んでの「壇浦兜軍記 阿古屋」では、とらわれの身でありながらも絢爛(けんらん)豪華な打掛をまとって花道から登場した玉三郎ふんする阿古屋の圧倒的な美しさに大きな拍手が。張りつめた空気が漂う静寂の中、景清を思って琴、三味線、胡弓を華麗に弾き分ける玉三郎の円熟の芸に、客席の外国人観光客もうっとりだった。 26日まで。南座ではこの夏、IMP.の影山拓也(26)が主演し、玉三郎が演出を手掛ける音楽劇「星列車で行こう」(7月27日~8月27日)の上演も控えている。