AIは『思いやり』を持った反応ができるか? 国内最大規模フォーラム 長崎東高生が最優秀賞
長崎県立長崎東高3年の川内野穂香さん(18)が今年春、データ工学分野の国内最大規模のフォーラムで「AIは『思いやり』を持った反応ができるか?」と題した研究を発表し、部門最高賞の最優秀インタラクティブ賞を受賞した。チャットGPTなどの対話型生成人工知能(AI)の活用を探った研究。川内野さんは受賞者中最年少で、高校生は1人だけだった。 日本データベース学会主催の「第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム」(DEIM2024)は2月末~3月5日、兵庫県姫路市の現地とオンラインで開催。約800人が参加し、論文発表などがあった。インタラクティブ賞は研究内容を解説したポスターの前で、対話・議論する「インタラクティブセッション」の賞。 川内野さんは、1年の頃から九州大が高校生を対象に開く「未来創成科学者育成プロジェクト」に参加。同大大学院芸術工学研究院の牛尼剛聡教授の指導で研究を進めた。チャットGPT利用者の4分の1が悩みの相談に使っているという先行研究から、メンタルヘルス(心の健康)の面で生成AIの需要があると推測。AIに「思いやり」のある回答ができるかを実験で検証し、結果をまとめた。 これによると、実験で「親の介護への不安」などの相談をチャットGPTに投げかけ、回答を生成させる際に異なる指示をして4種類の回答を出させた。各回答について10人に、思いやりがあるかどうかなどをアンケート。結果、生成した回答を相談者がどう受け取るかをAIが予測し、これに基づいて修正を重ねさせる手法が、最も思いやりのある回答を導き出せると結論付けた。 川内野さんは学生プレゼンテーション賞も受賞。大学に進学してAIの社会実装を学びたいと言う。「高校生もやりながら1年間研究して発表の場までこぎつけたことも含め、評価してもらえたと思う。大学や大学院で、自力でこのぐらい評価される研究ができるようになりたい」と意欲を語った。