小池百合子都知事「待機児童ゼロ」へ126億円の緊急対策案
小池百合子・東京都知事は9日の定例会見で、公約に掲げていた待機児童解消に向けた緊急対策案を示した。「保育所などの整備促進」「人材の確保・定着の支援」「利用者支援の充実」の3つが柱。126億円の補正予算案を編成し、9月下旬に開かれる都議会に提出する。 【中継録画】小池百合子・東京都知事の定例記者会見(2016年9月9日)
●当初計画より5000人増
保育所などの整備促進に向けて、都独自の補助制度を新設する。整備費は国の補助基準額に25%上乗せする一方、保育施設の賃借料は事業者負担を8分の1に減らす。年度内に着手した場合は、整備費の上乗せ分は30%に、賃借料の負担は16分の1に、それぞれ補助を拡大するインセンティブもつけた。 用地不足に対応するため、都有地も最大限活用する。副知事をトップとした全庁横断的な「都有地活用推進本部」を設置し、活用可能な土地情報を区市町村に提供するほか、民間保育事業者からの問い合わせ窓口も設ける。民有地や空き家など保育施設に適した物件を探す区市町村の支援策も盛り込んだ。 これらの緊急対策により、保育サービスが利用できる児童数は、年度当初の計画よりも5000人増え、1万7000人に引き上げられるとする。小池都知事は「できるだけ多くしたいが、今回は緊急対策であり、(5000人増は)かなりいっぱいの数字」と説明した。 「人材の育成、何よりも確保、そして定着」と小池都知事が重視する人材確保策では、保育職員の住居支援を拡大。家賃などを補助する宿舎借り上げ支援の対象者を、現在の「採用後5年目まで」から「全員」に広げる。これによりキャリアを積んだ職員も仕事を続けやすくなると見込む。保育従事者の実質所得は、最大で家賃の8万2000円分が改善されるという。 利用者に対しては、妊娠から子育て期まで継続した支援を行う「保育コンシェルジュ」を増員するほか、区市町村が行う認可外保育施設の保育料負担軽減の支援、保育の質的向上を目的に認可外保育施設への巡回指導チームも編成する。 小池都知事は「今回の緊急対策はあくまでも第一弾。検討中の2020年に向けた実行プランでは今後4年間の整備目標を設定し、本予算に盛り込んでいきたい」とした。 (取材・文:具志堅浩二)