ゾンビ映画を成功させろ!フランス版「カメ止め」に爆笑する、ミシェル・アザナビシウス監督の映画「キャメラを止めるな!」
2024年7月26日(一部競技は24日)から8月11日(日)まで、パリオリンピックが開催されることを記念して、洋画専門チャンネル「ザ・シネマ(CS227)」では、フランスに関連する作品が放送中だ。 【写真を見る】「キャメラを止めるな!」より 「炎のランナー」や「サンローラン」など、様々な映画が楽しめる本特集で8月8日、8月20日に放送されるのは「アーティスト」(2011年公開)で、フランス映画で初めて米アカデミー賞作品賞を受賞したミシェル・アザナビシウス監督の映画「キャメラを止めるな!」(2022年公開)である。 本作は、低予算でありながら、SNSの口コミで爆発的に拡散され、観客動員数220万人、興行収入32億円を突破した上田慎一郎監督の映画「カメラを止めるな!」のリメイク版。カンヌ国際映画祭のオープニング作品として上映された名作である。 日々、つまらない仕事をしていた監督のレミー(ロマン・デュリス)に、大ヒットした日本映画「ONE CUT OF THE DEAD」のリメイクの仕事が舞い込む。「山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していたクルーたちが、本物のゾンビに襲われる」という内容の映画を、30分間の生放送&ワンカットで撮影してほしいと依頼されて...というあらすじだ。 レミーにオファーをかけるのは、本家「カメ止め」でブレイクしたどんぐりこと竹原芳子が演じるマダム・マツダ。このことからも分かるように、フランス版は単なるリメイクではなく、日本版と地続きとなっており、オリジナルにリスペクトを込めた展開が楽しめる。 日本版を未見で内容を知らないという人のために多くは語らないが、本編の冒頭約35分はB級ゾンビ映画が流れるため、ひょっとしたらチャンネルを変えたくなるかもしれない。しかし、最後まで見てほしい。そして、ひとつのシーンも見逃さないでほしい。後半になればなるほど、その仕掛けにあっと驚かされるからだ。 一方、すでに日本版を視聴済みで、「カメ止め」の核を知っている人にも本作をおすすめしたい。オリジナルに忠実に制作していながらも、新たなキャラクターや思わぬトラブルが巻き起こるだけでなく、ゾンビ映画を成功させようと奮闘するロマン・デュリス、ベレニス・ベジョ、グレゴリー・ガドゥボワ、フィネガン・オールドフィールドら名優たちが演じる登場人物たちの暴れっぷり、困惑、パニックなど、日本版とは違った魅力を味わえるからだ。 もちろん、日本とフランスでは文化そのものが違うため感覚も違う。ただ、日本人が「キャメラを止めるな!」で大笑いし、胸が熱くなるのは、日本版の面白さを理解し、フランス人にも伝わるように咀嚼してエンターテインメント作品に仕上げたアザナビシウス監督と、キャストたちの熱意があったからに他ならない。 文=浜瀬将樹
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