博多大吉「朝ドラ受け」もモヤモヤ、過剰な描写が物議…『虎に翼』ネット批判につながる「4つの危うさ」
初回から伊藤沙莉投入で手堅く発信
4月1日にスタートした朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)が3週の放送を終えて全容が見えてきた。 【一覧】「現場で好感度の高い女優ランキング30」最下位だった「女優の名前」 ここまでの視聴率は、ほぼ近年の朝ドラ並みで、数字としては無難なスタートと言っていいだろう。その背景には、「朝ドラ恒例の子役を使わず、初回から主演の伊藤沙莉を登場させて本題に入った」というプロデュースの妙がある。 ただこれは裏を返せば、視聴者が様子見のスタンスを取る子役時代がないことで、「早々にはっきりとした賛否の声を呼んでいる」ということ。日本女性で初めて法曹界に飛び込んだ三淵嘉子さんがモデルの骨太な物語だけに、制作陣が真摯に向き合い、丁寧に撮られた作品であることは間違いないだろう。 しかし、その一方で早くもXでは連日“#虎に翼反省会”のハッシュタグが飛び交い、辛らつな声も少なくない。序盤からこのような声を招いた主な原因は4つあり、『虎に翼』の成否を左右しそうなムードが漂いはじめている。
目を覆いたくなる女性差別の連続
序盤から辛らつな声があがっている1つ目の原因は、振り切ったフェミニズム。ここまでの物語は、まさに女性の解放、性差別の解消、権利の向上などフェミニズムそのものであり、主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)の人生を描く一代記よりも優先されている。 物語は寅子が母・はる(石田ゆり子)から結婚を強いられ、「女性は子どもを産んで家庭を守るべき」という風潮に疑問を抱くところからスタート。当時の法律で「婚姻状態にある女性は無能力者」とされることに納得がいかず、弁護士を目指して明律大学女子部法科に入学するも、女性に弁護士資格を認める法改正が延期になってしまう。 さらに、傍聴した裁判では、「離婚係争中の妻が亡き母の形見である着物を夫から返してもらえない」という理不尽な状況に憤慨。その後、世間の風潮に抗えないからなのか、女子部は寅子が入学して半年で退学者続出・入学者減少し、存続の危機にさらされる。打開策として法廷劇を行うが、男子学生たちに差別的な野次を飛ばされ、中止に追い込まれ、新聞に厳しい論調で報じられてしまった。 また、15日放送の第11話では、法廷劇の準備、後輩の世話、女子部の待遇改善を求めて大学側と交渉、有志で行う傍聴会で多忙を極める中、「寅子はお月のもの、つまり月経が少々人より重めでした」「大学を休んで4日がたっていました」というナレーションが入った。 翌々日放送の第13話でも、よね(土居志央梨)の姉が15歳で売られて女郎になり、しかも置屋の主にだまされていたことが発覚。いずれも女性のつらさを物語るサイドエピソードが挿入された。 確かに戦前の法律は目を覆いたくなるほど不平等であり、世間の性差別も大きく、それを真っ向から描こうとする制作姿勢は称賛されてしかるべきかもしれない。しかし、「それを朝ドラとして令和の人々が受け入れるか」は別問題だろう。