勝つために「97%後払い」 アタマの中身も米国人仕様で臨む前人未到の新たなステージ【大谷翔平「二刀流の血脈」自信と気質とアタマ編】#8
大谷翔平「二刀流の血脈」自信と気質とアタマ編#8
【大谷翔平「二刀流の血脈」自信と気質とアタマ編】#8 華々しい活躍で世界を沸かすドジャース大谷翔平(29)。 【全米が驚愕!】大谷、はち切れんばかりに「パンパン」になった短パン! 日刊ゲンダイが過去に連載した「秘話 大谷翔平『二刀流の血脈』」を、大谷の自信、気質、アタマの3点に焦点を当てて再編し、その軌跡を紐解いていく。(第7回からつづく) ◇ ◇ ◇ そんな大谷が世界の頂点に立ったのが23年のWBCだ。投げて打って日本代表を牽引、大会MVPを獲得した。決勝の米国戦の九回にリリーフ登板。2死から同僚のトラウトを三振に打ち取った直後、帽子とグラブをぶん投げて喜びの感情を爆発させた。大谷があれだけ感情をあらわにしたのはかつてなかった。 WBCで得た勝つ喜びは、オフのFA移籍を後押しした。エンゼルス時代に二刀流として確固たる地位は築いた。投打ともトップクラスの選手として認知され、アジア人初の本塁打王に。2度目のMVPも満票で獲得した。「人がやらないこと」を体現したものの、6年間はプレーオフどころか勝ち越しすらなし。WBCで勝つ味を知った大谷が勝利を求めたのはある意味、当然の帰結だった。 11年連続でプレーオフに進出しながら、「この10年を成功とは思っていない」というフロントの言葉でドジャース入りを決意。現状に満足せず常にワールドシリーズ制覇を目指す姿勢に共感、投打の二刀流でのワールドシリーズ制覇が新たなテーマになった。 プロスポーツ史上最大の10年1000億円超契約。金額の97%を後払いにすることによって、ドジャースの補強資金に余裕をもたせた。メジャーにはチームの総年俸が一定の金額を超えた場合は、ぜいたく税を払うペナルティーがある。大谷の契約は戦力均衡を目的につくられた制度の趣旨をないがしろにするものとはいえ、米国では規則の範囲内でアタマを働かせて利益を生む方法を考えたのであれば、イノベーションをもたらすと受け止められる。網の目から漏れる規則やルールの方に問題があるととらえる。大谷はアタマの中身も米国人仕様になったわけで、それだけ勝利に飢えているということでもある。 大谷はNHKのインタビューで今度、右肘の靱帯を損傷したら投手を断念することを示唆しながら、こうも言っている。 「自分の最大のパフォーマンスを10年続けることが目標。だれも、それだけ長く2つやるのはいままでないので」 二刀流を10年続けながらワールドシリーズに勝つという、前人未到の新たなステージでの戦いが始まった──。(この項おわり) ◇ ◇ ◇ 大谷はいかにして世界屈指のパワーを手に入れたのか。 ●関連記事【続きを読む】…では、「秘話 大谷翔平『二刀流の血脈』」をパワーに焦点を当てて再編し、その軌跡を紐解いていく。