思考と試行のストライカー。ファジアーノ岡山U-18・石井秀幸は自らのゴールでチームに大きなエネルギーと勝利をもたらしていく【NEXT TEENS FILE.】
だが、チームは後半に入って2点を献上し、まさかの逆転負け。「最後の2失点目の跳ね返りは自分のマークだったので、日頃の甘さが出ましたね。あとはもっとゴール前でのクオリティを出して、圧倒的な存在にならないといけないと思います」。石井は敗戦のベクトルを自分に向けながらも、視線は既にその先を見据えていた。
チームも個人も初めて挑んでいるプレミアリーグの舞台。「去年のプリンスより強度が高い中で、その部分への慣れはありますし、プレースピードは成長していると思うんですけど、そこからもう1個成長しないと他の人との違いは出せないと思うので、日々の練習や試合でも細かいところにこだわって、やるしかないと思います」。経験を重ねていく中で、石井も確実に携える基準が上がっている。
プレミア初ゴールを挙げたのは第3節の神村学園高校戦。その試合で岡山U-18もプレミア初勝利を収め、さらにアクセルを踏み込もうと意気込んだ矢先に、無念の負傷。そこから2か月近い戦線離脱を強いられてしまう。ただ、この男はそんな時間も無為に過ごすようなタイプではない。
「チームのサポートはしながら、自分の身体を作ることは意識していたので、今はそこまで当たり負けするようなことは感じなくなりましたね。でも、そこももっと上げていかないと将来困ると思うので、プレーする中でフィジカルの部分は意識しています」。復帰してからの6試合では3ゴールを重ねるなど、コンスタントに結果を残しつつある。
「タイミングを図って背後に抜けるとか、手前でビルドアップに参加するとか、そこを使い分けながら、ゴール前に入っていくところは自分の得意なプレーかなと思っています。いろいろと自分にできることを探しながらやっていますね」と語るように、もともと考えながらプレーするタイプ。ボックス内で待ち受けるというよりは、いろいろな場所へ顔を出しながら、得点の匂いを嗅ぎ分けていく。
重要なゲームで結果を出しているイメージも強い。優勝を飾った昨年のイギョラ杯決勝や、昇格へ向けての重要な勝利を手繰り寄せた昨季のプレミアプレーオフ1回戦。どちらも石井は大事なゴールを沈め、派手なガッツポーズも。「昔から自分は勝負強いと思っていて、ビッグマッチになればなるほどできるというのは、自分に言い聞かせているところです」という言葉にも、ストライカー感が滲んで頼もしい。
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