全国交通系ICカード廃止、クレジットカードなどタッチ決済導入へ 熊本県内5社の路線バスと電鉄電車
熊本県内の路線バス事業者5社は27日、バスと熊本電鉄電車の運賃の決済手段について、全国交通系ICカードを年内にも廃止し、2024年度中にクレジットカードなどのタッチ決済を導入する方針を発表した。現金支払いや、地域限定型の交通系ICカード「くまモンのICカード(おでかけICカード含む)」の利用は続ける。 5社によると、「Suica(スイカ)」などの全国交通系ICカードで決済する機器は更新時期が迫っており、約12億1千万円の費用が必要になる。一方で、クレジットカード決済などの機器に変更すれば、費用が約6億7400万円に抑えられるほか、増加しているインバウンド(訪日客)の利用も取り込めると判断した。 5社はいずれも熊本市に本社を置く九州産交バス、産交バス、熊本電気鉄道、熊本バス、熊本都市バス。各社の経営は乗客減や運転手不足で厳しく、熊本都市圏で路線バス運行の共同経営に取り組んでいる。決済機器の導入費用の一部負担を国や県、熊本市に求めているという。
全国交通系ICカードは県外からの観光客やビジネス客の利便性を考慮し、5社が16年に導入した経緯がある。利用者にとって、廃止は選択の幅が狭まることになり、交通利便性の低下も懸念される。 23年度の決済手段の内訳では、くまモンのICカードが51%で最も多かった。現金や乗り放題パスなどの紙券は25%、全国交通系ICカードは24%だった。 5社でつくる共同経営推進室の高田晋室長(熊本都市バス社長)は「あらゆる決済手段を使えれば良いが、新型コロナウイルス禍もあり、高額負担は非常に厳しい。ご不便をおかけするが、周知にしっかり努めたい」と理解を求めた。(立石真一)