「疲れた大人に効きまくる」「自分に重ねて観ることで泣ける」…リピーター続出中の『ブルー きみは大丈夫』が大人に刺さるワケとは?
全米では公開から約1か月で、興行収入1億ドルを突破する大ヒットとなっている『ブルー きみは大丈夫』(公開中)。大人になると存在したことすら忘れてしまう空想の友達、“イマジナリー・フレンド”を題材とした本作は、劇場のそこかしこからすすり泣く声が聞こえる感動作。「思わず涙がポロリとこぼれた」「疲れた大人に効きまくる」といった声が多く上がっており、日本公開からまだ間もないものの、早くもリピート鑑賞者が急増している。 【写真を見る】ユニコーン、ロボット、アイス!?個性豊かなかわいらしいイマジナリー・フレンドが続々登場…好きな子が必ず見つかるはず! まるでブルーに抱き締められているかのような「もふもふしてて、疲れた心を癒してくれる」本作は、大人こそ必見。SNS上にあがった感想投稿によると「2度目の鑑賞でさらに胸の奥が熱くなった」「4回目の鑑賞」など、リピーターも続出しているが、なぜ大人たちに刺さっているのか?本稿ではその「涙」の理由をひも解いていきたい。 ※本記事は、ネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)を含みます。未見の方はご注意ください。 ■寂しさを抱える少女と“空想の友達”によるイマジネーションあふれる大冒険 12歳の少女と“空想の友達”の交流を描く本作。幼くして母を亡くした少女ビー(ケイリー・フレミング)は、父の手術に際し、かつてよく訪れていた祖母の家に預けられる。そこで子どもにしか見えない紫色のもふもふとした不思議な存在、ブルーと出会うことに。 ブルーをはじめ、かつては子どもの空想上の友達だったが、子どもが大人になったいまではお払い箱となったイマジナリー・フレンド=“IF”(イフ)たち。居場所をなくした彼らのために、ビーは大人なのに空想の友達が見える近所の男性カル(ライアン・レイノルズ)と共に、新たなパートナーとなってくれる子どもを探す。 ■もふもふのブルーら、かわいくてユニークな“空想の友達”に癒される人が続出! 「子どもの頃に誰にでもいた自分だけの友だち。絶対的な味方。悲しいことに大人になると見えなくなり存在すら忘れてしまう。でもそれは成長した証。ずっと温かい世界観だった」とあるように、空想の友達を通した心温まる物語が紡がれる本作。ゆえに、鑑賞したあとに自分の子ども時代に思いを馳せたという人があとを絶たない。 「子どもの頃、私も一生懸命おままごとをしていた時、空想のお友だちがいたことを思い出し、懐かしい気持ちになりました。そのお友だちがいまでもずっと見守っていてくれたらいいなぁとすごく感じ、ほっこりし、感動できるめちゃくちゃいい作品だなと思いました!」 「自分が子どもの頃、絵に描いたり、想像したりしたIFを思い出しました。もしかしたら、彼らもまだどこかにいるのかもしれない」 「子どもの頃に想像上の友だちなんていなかった…と思ってるのは大人になったからなのかも。この映画を観れば、子どもながらに創造したかつての友だちを思い出すかもしれない」 「自分のイマジナリー・フレンドって全然思い出せないけど、なにかの拍子に思い出せたらうれしいな、と思いました」 また癒し系なブルーを筆頭に、古いアニメ調のビジュアルをしたバレリーナのブロッサム、テディベアの長老ルイス、トレンチコートを羽織ったスパイのコスモ、タコとネコを掛け合わせたオクトキャット…などなど、個性豊かな空想の友達も魅力的。「どこか愛嬌のある造形も忘れられないキャラたちだった」と、想像力が詰まったかわいらしいキャラクターたちに心を奪われた人も多かったようだ。 「ブルーが小走りする時のぽふんぽふんって感じや耳や目や手の動き、優しい声もとても好き。私もブルーと手をつなぎたいなあ」 「ブルーのもふもふの体に抱き締められるのとカルのムチムチの胸筋に抱き締められるの、どちらもそれぞれの魅力があり捨てがたい…」 「ブルーが想像以上に愛おしくて大好きだった。ちょっとおっちょこちょいで、でも愛らしい」 「愉快なイマジナリー・フレンドたちがたくさん登場して笑って最後には涙が出てくる傑作映画でした」 「多種多様な姿形をしたイマジナリー・フレンド(IF)たちが、とにかく楽しい!」 「とにかくかわいい!この子が好き!がきっと見つかる映画だと思います!」 ■大人こそ刺さる…大事なものを思い出させてくれるメッセージ そんなキャラクターたちのユニークな造形やファンタジックなシーンの数々からもわかるように、本作は想像することのすばらしさ、さらには家族、友情、夢など、仕事や家事に忙殺され、忘れてしまいがちなことを思い出させてくれる。 「むしろ大人のほうが童心に帰れるので刺さるかも?」という言葉が示すように、その深いメッセージ性に大切なものを思い出したという観客も多く、熱のこもったコメントが多数寄せられた。 「大切にしていたのに気づいたら忘れてきてしまっていることだったり、大人になるために頑張らならなきゃってこと、何歳になってもあると思うんだけど、そんな時に観返したり心をゆっくりさせたい時にぜひ観てほしい作品」 「子どもの頃の思い出や大切にしていた夢がよみがえってきて、ピュアですべてが楽しかった子どもの時の気持ちを忘れないでいきたいなと思いました」 「日常に埋没した創作する自由な心と誰かへの優しさを思い出させてくれる。夢物語を忘れた全大人必見の愛おしい1本」 「大人になると自然と忘れてしまうこと、子どもの頃に大切にしていた気持ちを思い出しました」 「現代社会に疲れた大人にぜひ観てほしい映画。子どもの頃にどうしようもなく戻りたくなっちゃったな。あの廃遊園地が主人公の想像で煌びやかな世界観に包まれるシーン、久しぶりに映画でこんなにワクワクしたかもしれない」 ■頑張るあなたを全肯定!やさしさに包まれて思わず涙が止まらない 大人向けなメッセージの満載の本作だが、なかでも刺さるのが、仕事のプレッシャーに押し潰されそうなかつての友達、ジェレミー(ボビー・モイニハン)をブルーがやさしく抱き締めるシーン。空想の友達と大人になったかつての子どもたちとの交流を通じて、日々を懸命に生きる人たちを肯定し、時には立ち止まり、過去を振り返ってもいいんだよと励ましてくれる。そんなやさしいメッセージには思わず目頭が熱くなってしまう。 「毎日を頑張って生きている私たちを『1人じゃないよ』って勇気づけてくれる作品」 「とにかくとっても心が温かくなりました。様々な場面を自分に重ねて観ることで泣けてしまうすてきな作品であり、感動的なシーンもたくさん印象に残る」 「観た方それぞれに心の琴線に触れるシーンがあり、涙腺がかなりやられました。子どもから大人まで楽しめる作品です!」 「疲れたサラリーマンの心にIFたちの優しさが沁みて中盤くらいからずっと涙が止まらなかった。観た人に寄り添ってくれる“心のお守り”みたいな作品でした」 「子どもももちろん楽しめますが、これはいま頑張ってる大人にぶっ刺さります。ファンタジーとヒューマンドラマが融合した泣けるハートフル映画でした!」 「大人になって初めて気づく、気持ちが押し潰れそうな時や一歩勇気を出したい時に、そばにいてあと押しをしてくれる大切な相棒的存在に」 大事なプレゼンを控えるジェレミーに、ブルーは「きみは大丈夫」とそっと告げる。副題にもなっているこの言葉は大勢の涙腺を崩壊させたようで、以下の言葉がズラリと並んでいた。 「『きみは大丈夫』この台詞を聞いて涙がこぼれた」 「知らぬ間になにかに追われている日常でも、目を閉じて小さい頃に見ていたキラキラの世界を想像したい…そう思えば思うほど涙腺崩壊。私も『きみは大丈夫』って言ってほしい」 「大人になったいまこそ、心配な時、不安な時、つらい時、寂しい時など心に寄り添いながら、『きみは大丈夫だよ!』と言ってくれる“IF”の存在が大切なのかもしれないです」 「誰かと観ても、一人でも、あたたかい気持ちになれる映画」といった声のように、観れば誰もが優しい気持ちに包まれる本作。また「2回目観てきたけど、1回目観た時よりちゃんとここで伏線があったのか!と違う観方ができてまた楽しめた」、「ストーリーがわかってから気になってもう一度観たんだけど、伏線がちゃんと散りばめられてるし、わかっていて観ると大切なポイント満載」、「至る所に散りばめられた伏線への気付きがあり回数を重ねるごとに楽しくなる作品」など、あるキャラクターに関する伏線回収も巧みで、繰り返し観たくなる魅力が満載。ぜひ映画館で、やさしい少女と空想の友達が紡ぎだす温かいメッセージに何度も触れてほしい。 構成・文/サンクレイオ翼